会員制ビジネス


 中国で通っているジムを紹介しよう。
私が住んでいるアパートの2階にジムがある。狭いのと料金が高いのか難点だが、同じ棟の中にあり便利である。設備もまぁまぁである。

しかしここのジムの経営者は、「会員制ビジネス」のメリットをあまり認識していないようだ。
いまだに大量の営業員を街中に送り出して、新規顧客の勧誘に精を出している。
「会員制ビジネス」の大きなメリットは、会員の紹介で会員が集まる、と言う営業いらずの部分にあると思う。

従ってビジネス拡大に一番重要なことは「既存顧客の満足」であるはずだ。残念ながらこのジムはこの点に関して二流以下である。

まず第一に経営者が顧客に何も挨拶をしない。私がジムに行く時間帯にはよく経営者が顔を出している。しかし経営者は私と目が合っても会釈すらしたことが一度もない。

シャワールームの工事中、工事のための資材がロッカールームに山積みされてロッカールームに入ることできなかった。シャワーが使えないだけでも不満なのに、ロッカールームにすら入れない。

スタッフに工事に今不要な資材を撤去してロッカールームに入れるようにしてほしいと何度も提言したが、話を聞くだけである。顧客の利便性よりは工事業者の利便性を優先している。

経営者に私から話をする、と言っても一向に取り次がない。
顧客の声を殺してしまい、成長のチャンスを見逃しているとしかいえない。

不届きな会員が共有のロッカーに自分の鍵をかけて占拠しているのも「没方法」と言いまったく改善しない。

これでは友人にこのジムを勧める気にもなれない。
従っていまだに新規顧客獲得のために大量の営業員を雇用し続けている状態である。

日本にいたときのジムも、東莞の田舎町のジムでも営業員などほとんどいなかった。たまにキャンペーンをやるときにトレーナなどの職員を動員する程度である。

営業員を雇うお金を顧客満足に回せばもっと経営は楽になるはずだ。
少なくとも費用のかからない顧客満足作戦はいくらでもある。


このコラムは、2008年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第39号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】