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未然防止

 失敗に対して再発しない様に対策を考えるのは当たり前だ。さらにその上を考え、まだ発生していない失敗を未然に対策する。「失敗から学ぶ」というコラムはそんな思いで書いている。

ところで、品質改善や生産性改善の活動は成果を計測できる。しかし未然防止は、まだ損失が発生していない段階での活動だ。当然成果を計測することが出来ない。

しかし安全事故が発生した場合の損失、不良が顧客や市場に流出した場合の損失は莫大なものになる。不良が市場に流出し安全事故につながれば、回収、賠償など莫大な損失が発生する。即倒産の危機に瀕することになる。

ハインリッヒの法則によれば重大事故一件の陰にヒヤリハットが300件ある。
重大事故の損失コストは、ヒヤリハットの300倍では足りないだろう。効果を計測できないからといって軽視するわけにはゆかない。効果を考えるより未然防止を「文化」として全社に定着させることが重要だ。

ヒヤリハットから未然に事故防止を考える。
工程内不良を徹底的に再発防止する。
この様な活動が、安全事故、不良流出を防止すると考えている。

自社事例ばかりではない。
例えば御巣鷹山のJAL機墜落事故は、安全隔壁の修理方法が不適切だったことが原因だとわかっている。
この事例から、製造工程で発生した不良品のリワークがどの様な作業手順になっているか確認する。リワーク作業者の判断やスキルに依存している作業があれば標準化する。この様な活動が未然防止活動だと思う。地味ではあるが、おろそかには出来ない。この様な活動を称賛することで未然防止文化が醸成されると思うが如何だろうか。


このコラムは、2018年2月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第628号に掲載した記事です。

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ポカよけ ダブルチェック

2007年11月4日付け朝日新聞にこんなユースが載っていた。

「スカイマーク機、着陸時にカートが動いて客が足を骨折」

 3日午後7時15分ごろ、スカイマークの神戸発羽田行きボーイング767―300型機が着陸時、飲み物用のカートが動いて乗客2人にぶつかった。44歳の男性は右足の骨が折れる重傷で、47歳の男性も左肩に軽いけが。東京空港署が業務上過失傷害の疑いで捜査するとともに、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も4日、調査官2人を派遣する。

 怪我人の内の一人は足を骨折しており、かなり重傷である。この記事だけでは何が原因か不明なので今回の事故に関しては言及しないことにする。

飛行機に乗ると、乗客の搭乗完了時搭乗口を閉める時に「乗務員はオートモードに切り替えた後、相互に確認を行ってください」という機内放送を聴くはずである。この後クルーが扉の操作を行った後、お互いに親指を立てあっているのをご覧になった事があると思う。
旅客機は乗降口を開けると自動的に非常脱出用の滑り台が出て来る様になっている。しかし空港で乗客が乗り降りする時にも滑り台が出てきてしまっては不都合なので、マニュアルモードにして扉だけ開けるわけである。
このマニュアル・オートモードの切り替えを万が一忘れてしまうと大変なことになる。
そのため「ポカよけ」「ダブルチェック」を操作に仕込んである。
この操作でのポカよけは、モード切替の操作が完了しないと扉開閉のハンドルが操作できないようにしてある仕掛けのことである。扉が開いている時にマジックテープのたすきが扉開閉ハンドルにかかっている。このたすきをはずさないとハンドルは操作できない。このたすきにモード切替レバーの固定ピンが付いており、一連の操作で「うっかりミス」を防ぐ様になっている。
操作の後乗務員が別の扉がきちんとマニュアルモードになっていることをダブルチェックする。
搭乗口を閉める作業にこれだけの「ポカよけ」「ダブルチェック」が仕込まれているのである。
飲食物用カートの固定がどのような「ポカよけ」「ダブルチェック」の仕掛けをしてあるのかは良く知らないが、乗降口のモード切替のように厳重ではなさそうである。
製造現場でも同様に「ポカよけ」「ダブルチェック」を組み込まないといけない工程がある。
皆さんの工場ではどんな工夫をされているだろうか?


このコラムは、2007年11月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第6号に掲載した記事です。

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