失敗に対して再発しない様に対策を考えるのは当たり前だ。さらにその上を考え、まだ発生していない失敗を未然に対策する。「失敗から学ぶ」というコラムはそんな思いで書いている。
ところで、品質改善や生産性改善の活動は成果を計測できる。しかし未然防止は、まだ損失が発生していない段階での活動だ。当然成果を計測することが出来ない。
しかし安全事故が発生した場合の損失、不良が顧客や市場に流出した場合の損失は莫大なものになる。不良が市場に流出し安全事故につながれば、回収、賠償など莫大な損失が発生する。即倒産の危機に瀕することになる。
ハインリッヒの法則によれば重大事故一件の陰にヒヤリハットが300件ある。
重大事故の損失コストは、ヒヤリハットの300倍では足りないだろう。効果を計測できないからといって軽視するわけにはゆかない。効果を考えるより未然防止を「文化」として全社に定着させることが重要だ。
ヒヤリハットから未然に事故防止を考える。
工程内不良を徹底的に再発防止する。
この様な活動が、安全事故、不良流出を防止すると考えている。
自社事例ばかりではない。
例えば御巣鷹山のJAL機墜落事故は、安全隔壁の修理方法が不適切だったことが原因だとわかっている。
この事例から、製造工程で発生した不良品のリワークがどの様な作業手順になっているか確認する。リワーク作業者の判断やスキルに依存している作業があれば標準化する。この様な活動が未然防止活動だと思う。地味ではあるが、おろそかには出来ない。この様な活動を称賛することで未然防止文化が醸成されると思うが如何だろうか。
このコラムは、2018年2月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第628号に掲載した記事です。
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