先週は御巣鷹山のJAL機墜落事故から、自社の未然防止対策に活かす事例を考えてみた。今週も公開されている失敗事例から未然防止を考えてみたい。
2004年3月26日六本木ヒルズの回転ドアに6才の男児が挟まれ死亡する事故が発生している。
この事故にはいくつかの背景が有る。
見栄え重視:回転ドアの重量が2.7t有りオリジナル設計の3倍程度あった。
効率優先:訪問者の出入り効率を優先させるため回転速度を上げてあった。
効率優先:天井センサーの距離を1.6mからさらに40cm短くしていた。
これらの要因が重なり、身長が低い子供が死角となり挟まれた後も惰性で停止まで時間がかかった事が重大事故の原因となった。
それよりも重大な問題は六本木ヒルズ開業以来この故発生までの1年弱で大小の回転ドアで22件の事故が発生している事だ。事故が発生した大型回転ドアでは8才以下の子供が挟まれる事故が7件発生している。
このヒヤリハット(怪我をしていなくても重大インシデントと位置づけるべきだ)に対して、駆け込みを防止するための簡易ポールを立てるなどの簡便な対応しかしていない。
この対応を我々製造業の立場で考えると、不良発生の根本原因に対策をせずに流出防止対策のみを実施したと言う事になるだろう。工程内で発生する不良を徹底的に原因解析し、根本原因対策をしなければ必ず重大事故が発生する。
安全に優先すべき効率はあり得ない。
このコラムは、2018年2月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第631号に掲載した記事です。
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