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不良データの取り方

 不良データはパレート図などで整理して,上位の不良から対策をする.というのが定石である.

しかしこの方法がうまく行かないと考えている方があった.
「現場が生産するときに支障となるような不良項目と集計上件数の多い不良項目とが一致するとは限らない。」という主張である.
そのため,「現場が優先して解消してもらいたいと思っている不良項目を確かめることが大事だ。」と言っておられる.

この方は不良データが役に立たないので,もっと現場の声を聞いて対応しようという主張をもっておられる.この考え方を否定するつもりは全くないが,別の考え方ができないであろうか.

現場の改善に役に立たないデータは集めても無意味である.品質管理部などの自己満足にしかならない.改善の役に立って始めてデータが活きてくる.

例えば,パレート図で不良数量が多い供給メーカを上位から順に品質改善をしても,現場の改善につながらないと彼は主張する.当然であろう.購入数量の多い供給メーカは,分母が大きいので不良数量でデータを整理すれば,上位に位置づけられることになる.

これはデータが役に立たないのではなく、テータの取り方が適切ではない.不良数量ではなく不良率でデータを整理すれば,購入量に左右されないデータが得られるはずである.

また工程が困る度合いと,不良率が一致しないと言う彼の主張もありうるだろう.
この場合は不良率でデータを整理しないで,不良による工程の停止時間、修理にかかる時間などの不良による損失でデータを評価すべきである.

データが役に立たないのではなく、データを取る目的をはっきりさせ,それにあわせたデータの評価をすべきだと考えている.


このコラムは、2008年8月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第46号に掲載した記事に加筆しました。

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