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検証力

 このメールマガジンの読者様の大部分は、製造業に関わる方だと思う。工程内や市場で発生する不具合の解析をされたご経験も多いだろうと思う。

現在進行中のQCC道場でも何チームかが工程内不良、客先不良の低減をテーマに取り組んでいる。工程ごとの検査がない製品や、客先・市場で発生した不良はどの工程に問題があるのかを特定するのが難しくなる。

工程ごとに検査をして次工程に送る製品であれば、どの工程でどんな不良が発生するかがわかり、原因の特定も容易になる。しかし工程ごとの検査がないまたは抜き取り検査で次工程への移行を判定するような製品だと、手がかりとなるデータがない。

客先発生の不良も同様の手がかりが得られるが、市場不良の場合はさらに最終顧客の環境ファクター(取り扱い方法も含む)も加わるため、より手がかりが少なくなる。わずかな痕跡から真因を推定することになる。

いずれの場合にせよ、推定した原因が正しいことを検証しなければ正しい原因推定とならず、対策しても再発することになる。

例えば金属加工製品で、顧客工場でバリがある製品が見つかる。従来抜き取り検査で済んでいたものが全数検査、しかも検査部門の検査を要求される。
こうなると、不良品のロスだけではなく、検査費用もロスとなる。しかも発生頻度が少ない不良であれば、検査見逃しのリスクもある。全数検査の上で流出したら、一気に顧客の信頼を失うことになる。

バリ発生のメカニズムを特定できれば、改善は容易だ。バリが発生する要因を列挙し、各々の要因で再現試験をしてみる。

例えば金型をプレス機に組み込む精度でバリが発生すると仮定する。
X,Y,Z軸方向、垂直方向の角度、水平方向の角度などわざと振ってみる。もちろん生産できない(金型が破損する)レベルまで振る必要はない。

どのパラメータの変動が不良率の増減に影響があるかを突き止めれば、厳しく管理しなければならないパラメータが分かるはずだ。


このコラムは、2021年5月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1134号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

答えは現場にある

 以前指導していた台湾資本の中国工場でこんなことが有った。
ここの工場ではQE(品質エンジニア)がお客様からの不良返却品に対し、再発防止などの対策書を作成することになっていた。

しかし彼らは現場はおろか返却された不具合品もあまり見ることがない。返却不具合品は専門の解析チームがあり、彼らが原因解析をする。対策はQEが机の上で作文をする。報告書に必要な写真があれば、解析チームに依頼する。

報告書の作成に手間取っていると、不具合品はすでに廃棄されていたり、修理されていることすらある。

これでは永久に不具合は減らないだろう。

私は彼らに「問題は現場で発生している。答えも現場にある」としょっちゅう発破をかけ、机に座っているQEを現場に追い出していた。毎朝前日発生した工程内不良の会議にもQEを参加させて、現場で不具合発生や対策の効果を確認させた。

彼らをオフィスから追い出し、現場に有る解析チームの横に机を持っていった。

こうすることにより、彼ら自身の改善がスタートしたといって良いだろう。

現物・現場から離れたところの発想では何も生まれない。まさに「問題は現場で発生している。答えも現場にある」

私の友人コンサルタントは「モノは有るから見えるのではない。見ようと思うから見えるのだ」と口癖のようによく言う。これが彼の信条だ。

改善・問題解決のための答えはいつも現場に有る。


このコラムは、2007年1月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第17号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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