顧客企業の技術部門を指導している。技術的な解決課題を挙げてもらった。
10項目の課題が上がった。そのほとんどは彼らの固有技術で解決可能な課題だ。
それぞれの課題は製造部門の努力でなんとかしのいでいる状態であった。そのため生産効率が上がらないでいる。
一般的に言って、私自身がそうであった様に(笑)設計者という人種は新しいモノ好きで、過去に設計した製品のメンテナンス(設計改善)を嫌がる傾向がある。そこをなだめて、今製造が困っている課題を設計の力で解決するというテーマに取り組んで貰っている。(彼らを納得して動かすコツがある・笑)
ほとんどの課題は1ヶ月以内にほぼ解決しており、改善の効果確認待ち状態となった。これで製造部門は相当生産性が上がるはずだ。設計者が見積もった改善効果は、かなり過小評価してあった。意外にも、彼らは遠慮がちだ(笑)
しかし1点だけ、プレス部品の不良が解決の見込みが立っていない。
このプレス部品は、深絞り加工で加工時に亀裂が入ってしまう。不良が大量にあり溶接で亀裂をつなぎ研磨をしてなんとか形状を出している状態だ。強度が必要な部分ではない。外観意匠を保つために後の工程でも追加工が必要になっている。この加工は彼らにも技術はなく、ベンダーに加工してもらっている。しかもベンダーにも技術がなく、亀裂が入っており明らかに不良でも納入して来る。
そのような状態なので、ベンダーとともに改善をしようにも手探り状態だ。
手当り次第に良いと思われる方法を試して一喜一憂している。いきなり金型を修正してみて、不良が半分になってたと報告して来た。半分になったと言っても、サンプルが少ないので有意差は認められない。
まさに「竹槍の戦い」状態だ。
統計的に評価をするアプローチを教え、不良が発生する要因を全て挙げる様に宿題を出して今回の指導を終えた。プレス加工に関しては私も素人同然だ。しかし問題解決のための管理技術は分かる。次回は彼らの検討をどう確かめ、不良を減らすかというステップに入る。相当困難が予測される。万が一好ましい効果が上がらなくても、この経験はきっと彼らの成長につながるはずだ。竹槍だけではなく、管理技術という新しい武器を実装する事が出来る。
久しぶりに骨のある課題と取り組んでいる。
このコラムは、2016年9月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第493号に掲載した記事です。
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