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現場力の継承

 第83号の「究極のモノ造り」で伊勢神宮の遷宮の話を紹介した。
伊勢神宮の遷宮時に使う和釘を、新潟・三条の加治屋さんが再現した、というお話だ。

伊勢神宮が20年に一度遷宮をする理由は、モノ造りの技術を次世代に伝えるためだ。
多分遷宮工事にかかわることは、大変名誉なことだっただろう。
大工、鍛冶屋など代々の棟梁は遷宮の工事を任されることにより、次世代にその技術を伝える。遷宮がモノ造りの技術を次世代に伝えるための仕組みになっていた。親方から弟子に代々受け継がれるモノ造りの技術は、遷宮により確かめられるわけだ。

ヨーロッパやエジプトの遺跡は「そのモノ」が現代にも伝わっているが、日本は「様式」を伝える文化といって良いだろう。

このような古来から伝わるモノ造りの技術だけではなく、今私たちの工場にある現場力も5年後・10年後に代々伝えてゆかなければならない。しかもそのままではなく改善して伝承をしてゆかねば、時代から取り残される。

中国の工場では作業者・技能者に5年・10年と勤務してくれることは期待できない。では作業標準・マニュアル類で現場力は伝承できるだろうか?
これらは最低条件ではあるが、十分ではないと考えている。
現場力は、モノ造りへの情熱という器に乗せて次々と伝承してゆくものだと思っている。

工場の現場力をどう伝承してゆくか、読者様も考えてみていただきたい。
私のアイディアは例によって「金曜日版」で発表します。


このコラムは、2009年3月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第86号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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