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改善指導

読者様からご相談をいただいた。
ご相談者は、経営幹部として中国企業に招聘され、社内改革を進めておられる方だ。

※K様のご相談内容
会社設立して、10年ですが、土足で工場内に入らないようにすることもできていない状態です。
一人でしゃかりきになって、トラブルを起こして意味がないと思っています。
今の段階でも、私の改善や指示のペースについてこれないようで、脱落者が出そうです。
あまり慌てては、墓穴を掘ることになるか もしれません。

今のところは、こういった嘆かわしい状態から脱出して、先生をお呼び出来るぐらいの状態にすることが目標です。

実は私も、コンサル現場で似た様な経験をしたことがある。
この現場では、経営者から生産性の改善を依頼された。初日に現場に入ったら、現場リーダから「何しに来た」と詰問された(笑)
経営幹部(日本人)と現場リーダの間でコミュニケーションが出来ていないと言う大きな問題をまず発見出来た。

経営者の改善イメージは、自動化により、作業員を削減し、生産効率を上げる事だったが、莫大な投資をして全自動化の設備を構築しても、人の作業が必ず残る。

人と機械の調和をとって生産する「自働化」と言うコンセプトでLCA(ロー・コスト・オートメーション)を目指している私としては、現場で働いているリーダや作業員の意欲を高めなければ、改善は上手く行かない。
無理矢理改善をしても、コンサル契約が終わった後も、その効果が維持出来るとは限らない。
現場リーダの改善能力を高める事により、我々の仕事が終わった後も、改善が維持・継続する事を主眼としている。

従って、現場リーダ・作業者とのコミュニケーションや信頼関係は重要だ。

ご相談者の「一人でしゃかりきになって墓穴を掘ることになる」と言う認識は正しいと思う。まず「改善」をするのではなく、まず「関係」を構築するのが良い。

上下・左右・斜め全方位で関係を構築する。
経営者から、信頼と期待を獲得し、全従業員に発破をかけてもらう。
部下から信頼されれば、多少厳しいことを言っても付いて来る様になる。
改革は一部門の努力で達成出来るモノではない。社内全部門の協力・支援が必要だ。一人でしゃかりきに改善をすると、部分最適になったり、他部門から浮いた存在になってしまうことがある。

前述の顧問先で、私がとった信頼関係構築の方法を紹介しよう。

まず経営幹部を叱り飛ばした(笑)部下に対する「ホウレンソウ」が全く出来ていない、こういう状態は仕事の管理など不可能だ。「叱り飛ばした」と言うのは相当誇張が入っているが、現在は歳をとった分、老練になった(笑)

次に現場リーダの信頼を得る方法を考えた。
言葉を尽くしてもムリだ。こちら側の能力が圧倒的に高い事を実感させる。「言う事を聞いた方が得だ」と分かってから、初めて言葉で意欲を高める事が出来る様になる。

具体的には、現場を観察してリーダ達が困っている事を探した。
当然聞いただけでは、何も答えない。信頼していない相手に「困っている」などと言いたくないのが人情だ。

観察の結果、どのラインも共通の作業工程がボトルネックになっているのを発見した。単純な人作業なのだが、熟練度の差が大きく、その工程で大量に滞留している。作業者を観察し、その作業動作のキーポイントを見つける。
そしてリーダに、ビデオ動画を見せてキーポイントを解説、上手く作業する方法の指導方法を教えた。リーダは即各ラインの班長を呼び、もう一度説明してくれと頼んで来た。心の中で「やった!」とガッツポーズを作ったモノだ(笑)


このコラムは、2014年7月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第373号に掲載した記事に加筆したものです。

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副総経理の役割

 
今年は中国企業の指導が増えている。中国企業の経営幹部に対して、豪華な応接セットのある執務室に一日座っていると言うイメージを持っていた。
しかし最近指導している中国企業の製造担当副総経理は、生産現場を歩いている事が多い。彼と話をしたいときは、オフィスを尋ねるより現場を探した方が早い(笑)

経営幹部となっても現場を重視し、現場で作業員に話しかけている。立派な経営幹部だと思っていた。しかし、彼は自分の仕事を間違えている様だ。5Sや品質意識の指導時には、製造部門が忙しい事を理由に製造部門の部課長を出席させない。

生産現場の5Sが乱れているからムダな作業ばかりしていて忙しい。品質問題が多発しているために、手戻り作業、修正作業が発生し、より忙しくなっている。こういう状況は、足しげく現場に出かけているので了解しているはずだ。

自分一人で現場を支えるのは無理な話だ。現場を支える部下を育成する。育成の度合いを確認し、不足点があれば再指導する。そのために現場の巡視をする。これが彼がやらねばならない仕事だ。現場で直接作業員を指導すれば、部下である部課長・監督職の仕事を奪うことになる。

本来副総経理の仕事は、現状を打破するために長期的な戦略を考える事だ。生産方式の革新、生産設備の導入など部課長ができない仕事に時間を使う。今日しなければならない仕事の比率はうんと低いはずだ。

改善実践研修に現場の部課長を参加させないと言われた時は、副総経理が現場改善の「癌」だと感じ、怒りすら覚えた。しかしよく考えると、彼が重要な事に気がつく様に指導する事が、私の仕事だ。
こう考えると「怒り」は自分の「出番」に変わる(笑)


このコラムは、2016年7月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第484号に掲載した記事です。

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