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問題対処

 先週の「失敗から学ぶ:問題解決と問題対処」で、発生した問題を根絶するため原因追求し改善するのが「問題解決」、発生した問題の影響を管理するのが「問題対処」と書いた。

例えば、生産中に発生した不良を、生産に影響を与えない様にラインアウトし修理工程に回すのは「問題対処」。生産中に不良が発生したらラインを止めて、再発防止をするのが「問題解決」。

短期的に見れば、生産に影響を与えない様に「不良」を管理する方が合理的に思える。しかし長期的に見れば、不良を根絶する様「改善」した方が合理的だ。

この様に考えると問題対処などせずに問題解決をしなければならない事になる。しかし問題が工程内ではなく、顧客や市場で発生した場合は「問題対処」が重要となる。

「問題の発生防止」は当然だが、「問題の拡大抑制」、「問題の影響緩和」という問題対処も重要となる。
拡大抑制とは、波及範囲(問題が内在している製品ロットなど)を特定し隔離するなどの対処だ。
影響緩和とは、内部発熱が大きくなった時に機能停止により焼損事故防止するなどの対処だ。

しかし「拡大抑制」も「影響緩和」も市場で問題発生した場合、出来ることは限られる。ほとんどの場合、市場回収しかなくなる。

いずれにせよ、問題発生前の平素から「問題解決」に心がけることが必要だ。問題が発生しない平素から問題解決、という言い方に矛盾がある様に感じるが、ヒヤリハット300件に重大事故1件というハインリッヒの法則にある通り、日々発生する工程内不良を粛々と問題解決し続けることで顧客クレームを防ぐことができよう。

以前生産委託先の中国工場を日本から遠隔管理する際に、工程内不良が0.3%を超えたら即現地に出張指導をしようと決めていた。当時はハインリッヒの法則を意識したわけではないが、10ppmの重大事故(顧客クレーム)の陰に3000ppmのヒヤリハット(工程内不良)が潜んでいる、と後付けできそうだ(笑)


このコラムは、2018年1月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第621号に掲載した記事に加筆しました。

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顧客クレーム(誤出荷)

 以前、生産委託工場から出荷した製品の中に違う機種が一台混ざっていたというクレームをお客様からいただいた事がある。

クレーム品を調べてみると、製品そのものは同じだがラベル銘版を別機種の物を貼って出荷してしまった事が判明。全く同じ製品なのだが、お客様が仕向け地別に型名の枝番号を変えているので、ラベル違いで3機種ある。ラベルも型名の最後の二桁が違うだけで、他は全く同じである。

したがってラベルを貼り間違えてしまう可能性は、生産開始時点から予測していた。
そのため型番ごとに作業指示書を3セット用意し、ラベル貼り作業、目視検査工程の作業指示書にはラベル現物を表示した。

それでも問題は発生した。

工程の記録によると、内部異物(ケースを振るところころ音がする)不良でラインアウトした物がある。内部異物不良が発しすると、超音波融着してあるプラスチックケースを開けて、中の異物を確認・除去しなければならない。従ってケースは再利用できず交換することになる。ラベルも新たに貼らねばならない。

通常であれば修理完了後ライン復帰しラベル貼り工程、目視検査工程を通るので、不良は発生しないはずである。

更に班長の記憶を調査してみると、修理品のライン復帰時に既に別の機種を生産しており、別の機種が流れているラインで班長が持ち回りで、検査梱包工程を通した事が判明。
このときに班長が作業者に間違ったラベルを渡し、目視検査員も見逃してしまった、というのが真相のようである。

万全を期して不具合が発生しないようにしていても、このように意外な落とし穴があるものである。

注意しなければいけない落とし穴は、修理品のライン復帰、抜き取り検査品の戻し先間違い、など見落としがちなところに潜んでいるモノである。


こちらの記事もご参考に
第八回品質道場「品質改善」


このコラムは、2007年11月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第6号に掲載した記事に加筆したものです。

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