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ISOアリバイ審査



 先週のメールマガジン「跨部門活動」に関して読者様からメッセージをいただいた。

※N様のメッセージ
 いつも楽しい話題をありがとうございます!
今回は下記の言葉↓にピンっ!とアンテナ立ちました。
「ISOのアリバイ審査」
この言葉、流用させて頂きます(笑)

やはり今どこの会社でも同じなのでしょうか、アリバイ審査横行なのですね。
ひどい時など、ISO審査前なので遡って資料作るぞ、そんな本末転倒なことまで起きてることを見受けることさえありますからね。アリバイ審査、この言葉しっくりきました。・・・・さて問題はこの言葉からどう展開するかですが。
考えるヒントをありがとうございます。

メッセージをいただくたびに、このメルマガの読者様は大変意識の高い方が多いと感じる。N様は、私の拙文中の言葉からヒントをつかみ、活用する事を考えておられる。メールマガジンを配信する者の冥利だ。

「ISOのアリバイ審査」と言う言葉は、ある会社で行われている受注審査を指して使った。つまりISOで決まっているから「しようがなしにやる審査」と言う意味だ。N様がご指摘の通り、このような動機で行われている審査は、ISOの更新監査があるので、前日に品質記録を調べ直し、足りない部分は後から作成する。杭打ちデータ、燃費データの捏造が発生するのと同じ組織倫理だ。

前職時代ISO9001が発行されて間もない頃、オランダの支社からの認証を取得しなければ欧州で製品販売が出来なくなる、と認証取得をするよう強い要求が来た。
まずは欧州での主力製品群を扱っている事業部で認証取得にトライして、全社に展開すると言う全社方針が決まり、当時私が所属していた事業部に先頭バッターとして白羽の矢が当たってしまった。
当時設計開発部門に所属していた私は、当然(笑)余分な仕事が来たと消極的な感想を持っていた。技術部長も同じ思いだった様だ(笑)
「上に政策あれば、下に対策あり」と言うが、当時の技術部長は実験ベンチの測定器全部に「校正対象外」のシールを貼ってしまった(笑)

当時の社長は、認証をとるなら一番厳しい認証機関の審査を受けようと考えた。
そのため、予備審査の段階で認証機関から指摘を受け、設計開発部門の「校正対象外」のシールは貼り替える事になった。

ISO9001導入時期には、「ISOだからしようがない」は全社的認識だった(笑)

その後品質部門を担当する事になり、事業部内で問題を見つけるたびに是正のための会議を開催しようとするのだが、先方の部長からスケジュールが取れない、とのらりくらり逃げられてしまう。

「ISOだからしようがない」を利用する事にした。「不適合是正会議」という言葉を使うのをやめて「臨時内部監査」と言う言葉を使う事にした。「会議」だと何かと理由を付けて延期する、代理出席でごまかすが、「内部審査」ではそうは行かない。「ISOだからしようがない」となる。

ISO9001の部門運用マニュアルに、「臨時内部監査」と「緊急内部監査」を追加し、品質保証部門長に開催権限を付与した。これで私はサッカーの審判のように、イエローカードとレッドカードを手中にした(笑)

部門の品質システム運用マニュアルの改訂権限(最終承認は事業部長)を持っていた私は「ISOだからしようがない」と言う認識を活用しやりたい放題だった(笑)

当然「理」や「義」にかなわぬ事をしてはならない。
しかしどの部門で働いていても、会社のために、社会のために自分の職権を活用する事は出来るはずだ。

余談であるが、職権とは職位の高い者が持つ権限の事ではない。守衛係でも職権はある。
レクスサス星が丘営業所の守衛さんは、仕事中に道端に立っている職権を利用し、店舗の前を通るレクサスに最敬礼をし続けた。その結果エリア外からも顧客が集まる人気店となった。

一日中外で立っている事を職責と考えれば、苦役となる。
一日中外で立っている事を職権と考えれば、やりがいとなる。

「レクサス星が丘の奇跡」志賀内泰弘著


このコラムは、2016年6月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第482号に掲載した記事です。

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