東京都練馬区の遊園地「としまえん」のプールで昨年8月、ライフジャケットを着た8歳の女児が水面に浮かべた遊具の下で溺れて死亡した事故を受けて、ライフジャケット着用時の遊具のリスクを調べていた消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は19日、転落状況によっては体が真上に浮上せず、遊具の下に潜り込んで自力脱出できなくなる危険があるとする報告書をまとめた。
(朝日新聞電子版)
昨年8月15日に発生した豊島園プールでの女児死亡事故の続報だ。
(注)エア遊具とはとは子供を対象とした、空気で膨らませた大型遊具の総称。本事例ではプールなどの水面に浮かべその上で遊ぶ大型遊具のこと。
この記事は消費者安全委員会が6月19日に発表したとしまえんプールで発生した8歳女児の溺死事故調査報告が元になっている。女児はライフジャケットを着用、プール水面に設置されたエア遊具から転落。エア遊具の下に潜り込んでしまい、ライフジャケットの浮力でエア遊具底面に押しけられ、脱出できず溺死している。
事故原因を特定し、再発防止を提案するための調査・再現実験を含む報告書だ。
事故発生から10ヶ月かかっている。公共性の高い報告書だ。何層もの上位者の査読・修正指示があったことは想像にかたくない。としまえんプールでの事故後、同業施設では自主的に再発防止が取られていたと思う。幸い事故後同類の事故はなかったようだが、もう少し早く報告書が公開されても良いのではないかと思う。
死亡事故といえば、我々製造業にとっては「重大不適合」である。再発防止対策を含む原因調査報告書は1週間以内に提出されねばならないだろう。少なくとも即日再検査などの暫定処置を取らねばならない。
ISO/IECガイド51「安全側面-規格への導入指針」では、リスクア セスメントによりリスクを明らかにし、以下の優先順位に基づきリスク低減を行うことを、リスク低減の 基本原則としている。
- 設計における本質的安全設計方策(危険源の除去等)
- 設計における安全防護及び付加保護方策(ガードの設置等)
- 設計における使用上の情報(警告の表示等)
- 使用における各種保護方策(監視、保護具の使用、訓練等)
この指針は製品安全の大元締めとなる規格だ。
製品ばかりではなく、オフィス・工場の安全に適用すれば以下のようになる。
- 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を除去する。
- 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を緩和する。
- 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を可視化する。
- 作業従事者に注意喚起・教育訓練する。
より上位の対策が有効度は高くなる。
このコラムは、2020年6月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第997号に掲載した記事です。
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