香港、華南地区で発行されている月刊ビジネス誌「華南マンスリー」に連載コラム「四文字熟語に学ぶ 儲かる工場の作り方」を書かせていただいている。
10月号には「ポカよけ」について書いた。
時々熱心な読者様からメールをいただく。今回はこんなメールをいただいた。
はじめまして
毎月華南マンスリーを読ませていただいてます。
私は7年前から中国での技術指導のため赴任生活をしているものです。
10月号記事で日ごろ中国人との会話のなかで気にしていた熟語について記述がありましたので今後の教育に活用できないかとさっそくメールさせていただきました。
ポカミスは日本語では「ポカンとしているときに間違った作業をしてしまうとか見逃してしまう」あるいは難しい表現では「緊張が途切れるときのミス」の総称と理解しています。
緊張が途切れる(ポカンとする)のは誰でもありうる。ということを注意させるためにあえて幼児もでもわかるポカンという言葉を使っていることに意味があると思います。
そういう意味で和訳にある「物事に対する関心がなければ、いつも見ているものが見えていないのと同じである」 は意味が通じても本来の目的が十分伝わらないような気がしますが、それまで含んだ表現は他にありませんでしょうか?
残念ながらこれからも”ポカミス”は頻繁に使用せねばならないのでぜひ良いご指導をお願いしたいと思います。
中国の工場で「ポカミス」を何とか減らそうとご苦労されているようだ。
我々日本人にとっては「ポカミス」とか「ポカよけ」など短くてもそのニュアンスまで伝える便利な言葉があるが、これを中国人従業員に説明するのは大変だ。
「ホウレンソウ」(報告、連絡、相談)を中国の会社にも根付かせようと『報・連・相』という標語を作っておられるところも多いだろう。
しかしこれでは日本語の「ホウレンソウ」のニュアンスもインパクトも伝えられないだろう。ホウレンソウは賛成土壌では育ちません。という駄洒落も通じない(笑)
「ポカよけ」は中国語で言うときは『防呆』と訳せば通じる。
しかし「ポカミス」は一言でうまくいえる言葉は思いつかない。『発呆錯誤』といえば意味はあっているだろうが、いまいちニュアンスが伝わらない。
同じようにムダ・ムラ・ムリを一言で言う「ダラリ」も中国語でうまく伝えられない。一つずつ説明しても「ムラ」を『斑点』と通訳に訳されてしまったりする。
そこで「ムダ・ムラ・ムリ」を説明するために『無益・無均・無理』という中国語を考えた。ちょっと無理やり感があるが、ムラを『斑点』と訳されるよりはましだ
これらの言葉を中国中に広めるのならともかく、会社の中だけならば「ポカミス」「ダラリ」をそのまま教えてしまってはどうだろうか。
「KAIZEN」、「KEIRETSU」という言葉はすでにそのままでも世界中に通用する。
同じように「ポカミス」や「ダラリ」もそのままで通じるようにしてしまう。
初めはきちんと意味を伝えなければならないが、意味が理解できればあとはそのまま日本語で通す。
言葉はいってみれば「記号」なので、これでも問題はないだろう。
このコラムは、2009年9月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第118号に掲載した記事です。
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