人の作業ミスにケアレスミスと人為ミスがある。普通はこれらのミスを区別することはないだろうが、今回はこの二つのミスについて考えたい。
ケアレスミス:注意不足で発生するミス。
人為ミス:人が関わるミス。ヒューマンエラー。
人為ミスの中にケアレスミスが含まれているような図式だが、
- ケアレスミスを注意力という属人的なものに依存するミス。
- 人為ミスは人の思考・動作などに関わるミス。
と分類してみた。
例えば外観検査で、未検査のものを検査済みと間違え合格とするのは、ケアレスミス。
合格基準に満たないものを合格と判断するのは、人為ミス。
どちらも人に関わるミスだが、原因が違う。ケアレスミスは「不注意」という属人的な問題。一方人為ミスは認知、動作など人の特性に依存する問題。
このように分類して考えてみよう。
普通に考えると、ケアレスミスは注意して作業をする、ダブルチェックする、などというあまり効果・効率を期待できない対策をとりがちだ。
一方人為ミスを属人的な問題と考えてしまうとケアレスミスと同じになってしまうが、人の動作や認知の特性によって発生する問題と解釈すれば、個人に依存しない対策を考えることになる。
こう考えれば、
「間違った方法では作業できないようにする」という発想が生まれるはずだ。
つまり冒頭で申し上げたケアレスミスと人為ミスのどちらもミスが発生しない方法を考えるということだ。
人が絡むミスを一括りにしてしまうと「作業員に再教育」など効果が疑わしい対策になりがちだ。誰がやっても同じ効果が期待できる作業方法の改善を考えるとよいだろう。
例えば、
ケアレスミス:注意力を発揮しなくてもよい作業方法に変える。
人為ミス:人の判断を極力減らす作業方法に変える。
このコラムは、2022年1月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1242号に掲載した記事です。
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