生産性改善


 20世紀当初、フレデリック・テイラーが「科学的管理」を提唱し作業の標準化がなされる。要素作業を定義して作業を標準化し、作業時間を定義した。ギルブレイスのサーブリック法はこの頃に開発されている。
つまり科学的管理は「いかに作るか」を定義した。

その後ウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で作業効率向上の実験が行われた。この実験に参加したエルトン・メイヨーは生産性の改善は作業環境に依存せず、作業者の心理的要因に依存することを発見している。

これらの研究が役に立ったのは、単純労働であろう。知識労働に同様な手法を用いても生産性は改善しないだろう。従来の科学的管理は作業動作に注目しており、動作を伴わない知識労働には無力だ。

知識労働の最善の改善は「止めること」だ。
もちろん全て止めてしまうわけではない。作業の目的、得たい結果、必要性を理解し、必要ないことをやめる。

例えば、参考資料を探し、コピーを取って、分類別のファイルに格納する、と言う作業があったとする。この作業の目的は、参考資料を閲覧可能にする、と言うことになるだろう。であるならば参考資料はネットで探し、共有ディスクに格納するだけでいい。コピーは止める。分類別のファイルは作らない、検索機能で代用。当然書棚も必要なくなる。

上記の作業で知的作業と言えるのは、参考資料を読んで新しい事を考える時間だけだ。知的作業の改善は、価値を創造する仕事に集中することだ。


このコラムは、2020年11月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1062号に掲載した記事に加筆しました。