続・ナゼナゼ5回


 メールマガジン第80号で「ナゼナゼ5回」を取り上げた。

読者様からこんなメールをいただいた.

なぜ5は、日本の部品ベンダで問題が起こった場合、考えて提出してもらっています。
しかし、先に真因が頭の中にあり、それに結びつける為に、なぜなぜをしている部分があります。
ツールとして使いこなしているところは、少ないと感じています。

海外ベンダは、8Dレポートという形の回答がよくきています。
この場合も真因に達していない回答が多く、都度、問い合わせとしています。
中国ベンダなどでも、工場や品質管理責任者の対応で違いが多いでしょうか?

S様のメッセージ

S様ありがとうございます.

当時、お付き合いがあったのは台湾企業の中国工場が殆どだったが,不良解析&再発防止レポートでまともなモノを受け取った記憶がない.

独立してそういう工場の指導をして初めて分かったが,CE(カスタマーサポートエンジニア)と呼ばれる苦情処理係がいて彼らが顧客に対するレポートを書いてる.
驚くことに彼らは自社製品の技術的なことは全く理解してない.ただ少しだけ英語ができるので,別にいる解析エンジニアのレポートを英文に直しているだけなのだ.

しかも現物も現場も見ずに解析から再発防止対策まで一人で作文しているだけ.だから再発防止は,作業者に注意した,作業者を教育した,作業者を罰した,という役に立たない報告しかできない.

当然まともな顧客からはクレームが来て,レポートを再提出することになる.
こういう事を何度か繰り返していると,経営者にクレームが入り現場に雷が落ちることになる.

まともなリソースをきちんと割り当てていない経営者自身の責任なのだが,現場に対して何とかしろとしか言わない.

そんなこともあり,レポートの定型化が良く進む(笑)
フォーマット化すれば,能力が低い者でもレポートが書けると思っている.8Dレポートというのもそういう背景があり,あっという間に広まった感がある.

今まで中華系の工場から出てきて,合格点をあげられた報告書は一つしかない.

電解コンデンサメーカの不良解析レポートだった.
実はこのレポートは工場監査に来たお客様が,置き忘れて帰ったものだ(笑)

以前指導していた工場では,まずレポートの構成から教育した.

解析の仕方とか,再発防止の考え方などを教え,デスクに座っている連中の尻を叩いて現場に追い出していた(笑)

彼らが書いてきたレポーはも何度もダメ出しをして書き直させる.
営業からはレポート提出期限の督促がしつこく来る.自分で書いて提出することも何度かあった.

それでもCEたちは嫌がらず夜遅くまで,時に休日でも出てきてレポートの書き直しをする姿勢には感心する.

中には殆ど指導をしなくても書ける様になった者もいた.
彼らはやり方をきちんと指導をされていないだけなのだ.
辛抱強く指導してやればすこしずつでも良くなるものだ.

もう一通「ナゼナゼ5回」にご感想をいただいている.
長くなってしまったので次回紹介したい.


このコラムは、2009年2月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第81号に掲載した記事に加筆したものです。

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