リーダーシップ


 仕事がら、何人もの中国人経営者と会って来た。
お目にかかった中国人経営者は、ほとんどが自分で起業し経営している人だ。
親から事業を継承したとか、社内で階段を上がって経営者となったと言う人は、弊社のお客様の中にはいない。改革開放からまだ30年あまり、民営企業の経営者はまだ一代目の人が多いのだろう。

弊社の顧客中国人経営者を見ていると、判で押した様に同じタイプの人が多い。強いリーダーシップでメンバーをがんがん引っ張って行くタイプばかりだ。今月から支援している企業の董事長兼総経理もそのようなタイプの経営者だ。

経営幹部を集めた経営会議ではほとんど自分がしゃべっており、出席者はただひたすら聞いているだけだ。彼らがおとなしい人だと言う訳ではない。自部門の会議では董事長と同じ様に、部課長に向かってしゃべり続けており、部下に発言するチャンスを与えない。

この董事長の悩みは「経営幹部が自主的に動いてくれない」ということだ。私の見立てでは、経営幹部が自主的に働かないのは、董事長がそのようにしているだけだ(苦笑)

残念ながらこの企業には、自由闊達に意見を言い合う文化はなく、上司の意見を黙って聞く(聞き流す)のが美徳になっているようだ。このような組織は、起業したての企業ではうまく回るかも知れない。しかしある程度の社歴や人数規模になったらうまく立ち行かなくなる。経営者一人の力では会社を回せなくなるからだ。

この会社を更に成長させるには、董事長を変えなければならないだろう。
まずは会議ではしゃべるのを半分に減らし、部下の発言に耳を傾けるようにアドバイスした。
機関銃の様にしゃべり続けているので、助手が口を挟む暇がない。こういう時は私が直接話をする様にしている。

私の中国語では、真剣に聞き取らねば意味が分からない(笑)
普段人から叱られる事がない経営者が、日本の年寄りに意見される。この二つが効果があるようだ(笑)


このコラムは、2016年3月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第466号に掲載した記事に加筆しました。

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