企業文化を磨く


 三流企業は、製造力を磨く。
 二流企業は、営業力を磨く。
 一流企業は、企業文化を磨く。

私の友人富田義彦さんの名言だ。富田さんとは、故原田則夫師匠の紹介で知り合った。富田さんは、原田師が亡くなる直前に会った最後の日本人だ。「今富田さんが来ておられますよ」原田師が最後に私に宛てられたメールにこう書かれていた。

原田師が亡くなったあとも、交流させていただいている。彼の工場経営の素晴らしさに感銘を受け、原田式経営哲学勉強会のメンバーと一緒に工場見学をさせていただいた事もある。

富田さんは、東莞工場の立ち上げから10年間、総経理として経営に携わって来られた。顧客を33倍に増やし、売り上げも伸ばした(最後の4年間で2.5倍になっている)そして武漢に二社目の生産拠点も立ち上げた。最後の二年間は、お忙しくてお目にかかる機会が激減したが、今年めでたく定年退職され、また東莞に戻って来ておられる。

日本本社から派遣されたサラリーマン経営者として、毎年の経営目標を達成し続けただけではなく、企業文化をコアコンピタンスとして中国人幹部を育成し企業の成長・発展に貢献された。

富田さんの工場には、なるほどとうならせる、業績を上げる仕組みや仕掛けがあった。

しかしこれらの仕組みや仕掛けは、彼の「企業文化を磨く」と言う経営哲学を抜きにしては、これだけの成果を上げる事は出来なかっただろうと考えている。

その企業文化の核となるのが、微笑、人財、敬業、工場、感恩の五つだ。

  • 微笑
    朝礼で、笑顔で挨拶の訓練をしている。守衛、工場内の職員、作業員全員が笑顔で挨拶をする。
  • 人財
    富田さんご自身も、新入社員研修、日本語研修を担当しておられた。
  • 敬業
     社長を初めとする幹部が率先垂範を示す。優秀な社員を企業文化スターとして選定している。
  • 向上
     モチベーションを向上させる。自主運営を尊重する。
  • 感恩
     恩返しを通して団結を高める文化を築き上げる。

そして富田さんの素晴らしい所は、良いと思った事を即実行する行動力だ。


このコラムは、2014年9月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第378号に掲載した記事に加筆しました。

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