サムスン新スマホ、リコール後も発煙か 米報道


 韓国サムスン電子の最新型のスマートフォン(スマホ)「ギャラクシーノート7」の発火問題で、リコール(回収・無償修理)された従来の端末から交換した安全対策済みの端末でも異常が報告された。米メディアによると、米国時間の5日にケンタッキー州の空港から離陸しようとしていた米サウスウエスト航空の機内でノート7が発煙した。この端末を持っていた乗客によると、2週間前に新しい端末に交換したばかりだったという。

 5日の発煙を受け、米消費者製品安全委員会(CPSC)や米連邦航空局(FAA)が調査に乗り出した。サムスンは発煙が「新しい『ノート7』に関連したものかどうか現時点では確認できない」とコメントしたという。

 サムスンは8月19日にノート7を発売。しかし、一部電池に問題があったことが判明し、9月2日に米国や韓国など主要10カ国・地域で出荷済みのほぼ全量にあたる250万台を回収・交換することを決めた。ただ、9月下旬には韓国メディアが新しい端末で異常放電などの問題が起きたと報道。米国内でも新端末の異常が報告されたことで、再度、対応を迫られる可能性がある。

(日本経済新聞電子版より)

 メルマガ第492号でサムスン・ギャラクシーノート7の回収に関してコラムを書いた。今回はその続報であり、回収交換した電池でも発煙事故が発生したということだ。
サムスンは電池の問題ではないとしているが、充電残量が不自然に急減、端末が異常発熱などの事故が電池交換後にも発生している。

ノート7には、韓国のサムスンSDIとTDK子会社の香港アンプレックステクノロジーの電池が使われている。問題を起こした電池はサムスンSDIが製造したものと発表されている。しかし市場の情報では東莞ISM製となっている。電池セルはサムスンSDI製、それをモジュールとして組み立てたのが韓国半導体メーカの中国工場東莞ISMということなのであろうか?

回収交換品でも同様の問題が発生しているということは、回収交換用の電池もサムスンSDI製ということなのだろうか?
普通の感覚ならば、問題を起こしていないメーカ製に切り替えると考える。しかし回収交換にかかる費用を請求された場合、納入業者としては自社製品で交換してもらった方が費用は少なくなる。他社製に交換した場合、交換部品単価には利益が含まれる。一方自社製で交換すれば、部品単価は製造原価だ。

発煙発火という重大事故を起こしていながら、このような損得勘定をしているとは思いたくないが、ユーザの安全・利益を忘れた企業に未来はない。


このコラムは、2016年10月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第497号に掲載した記事に加筆しました。

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