改善とカイゼン


 改善のことを「カイゼン」とカタカナ表示する文章を見て違和感を覚えた。この文章は、現場が自分たちの都合のいいように勝手に作業方法を変更する事を「カイゼン」とカタカナ表記をしていた。
本日は改善とカイゼンの境目について考えて見たい。

辞書で改善を引いてみると以下のように出ている。

悪いところを改めてよくすること。「生活を改善する」⇔改悪。
[補説]トヨタの生産方式を象徴する言葉として世界で知られる。

(コトバンクより)

「改善」とは悪いところを改めてよくすること。
では「カイゼン」とはなんだろうか?[補説]に有るようにトヨタ生産方式を象徴する「KAIZEN」を示すものと考えるのが妥当のように思える。

上述の現場の都合に合わせて勝手に作業方法を変えるようなことは、どの様な表記をしようとも改善とは言い難い。例えば東海村JCO臨界事故の様に、燃料加工工程で正規作業手順を逸脱した「裏マニュアル作業」はどんな表記をしても改善とはいえない。

では「カイゼン」と「改善」の違いはどこにあるのか?
「改善」は辞書にある様に悪いところを改めて良くすること。
「カイゼン」は悪くなくても更に良くすること。
この様に定義してはどうだろう?

以下の様な例で理解していただきたい。
不良が発生する工程を不良が発生しない様にすることは「改善」。
作業効率を〇〇%向上させることは「カイゼン」。

作業効率を上げなければ出荷が間に合わない、または利益が確保できないなどのネガティブな状況を改めることは「改善」と表記する。一方、作業効率を上げ、短納期出荷で顧客満足を得る、または利益率を上げる事は「カイゼン」と区別して表記することになる。

日本のモノ造りの凄いところは、悪くなくても「カイゼン」を継続するところにある。

英語で言うならば我々が目指すのは“Improve”ではなく“KAIZEN”だ。


このコラムは、2018年4月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第657号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】