東日本大震災で広がっている花見やイベントなどの「自粛ムード」について,内閣閣僚からも,行きすぎると経済に悪影響が出かねないとの懸念が出始めた.復興構想会議に任命された村井宮城県知事は「過度な自粛をしないで消費を促してほしい」と菅首相に要望している.
隅田川の屋形船は,9割がた売り上げが落ちているそうだ.
被災して辛い避難生活を強いられている人たちのことを思うと,花見などと浮かれる気持ちにはなれないのは分かる.しかし政府や自治体の指導者が,花見を自粛せよというべきではない.
被災していない我々こそ,消費をして国の経済を支えるべきだ.復興にかかる費用を,消費税や事業税として負担しなければならない.
復興には15兆円ほどかかると言われている.気の遠くなるような金額だ.国民一人ひとりが,税金で負担しようとすれば一人当たり,12万5千円.一家族を4人とすれば,各家庭の税負担は50万円増えることになる.やはり企業が利益を出して,たくさん事業税を納めてもらわなければならない.
景気を冷え込ませてはいけない.
個人消費が伸びれば,企業の収入が上がり,納税額も上がる.被災地への義捐金と同じように,個人の消費も被災者を支え,被災地の復興に貢献することになるはずだ.
中国の航空会社が,被曝を恐れ帰国する中国人に対して航空券の売値を1万元に上げたと聞いた.通常ならば5000元で往復航空券が買える.しかし日本の企業がそのようなさもしい商売をするはずはない.
思い切って大型の液晶TVを買う.そして製品の裏側隅に「東日本大震災復興のため購入」と書いておく.きっとその製品を買ったことを永く誇りに思えるはずだ.家族は皆それを大事に使うだろう.
私達の様に海外で働いている者は,必死で働いて家族に少しでもたくさん仕送りをする.工場の経営者も,利益を出し日本の本社に還元する.
震災の影響で生産量が落ちている工場は,生産が落ちている間に生産改革を実施して,高利益体質に生まれ変わる.
それぞれが,それぞれの立場で今しなければならないことを,精一杯する.それが,日本の社会を明るくし,被災者を支え,被災地を復興させることになるはずだ.
今回の震災が,人類が未だ受けたことのない規模の災害ならば,人類が未だ達成したことがない復興を,我々日本人が果たそうではないか.
このコラムは、2011年4月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第200号に掲載した記事に加筆修正しました。
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