データの活用


 「ビッグデータ」「データマイニング」というキーワードを目にする機会が最近増えて来た。色々なデータを収集活用する事が可能になって来ている。
IoTの広がりが多種のデータ収集を可能にしている。例えばApple Watchなどに代表される身につけるデバイスがネットにつながる事により、個人のヘルス・データが大量に集まる様になっている。このビッグデータを解析する事により医療が、治療から予防に進化しようとしている。

これは我々製造業にも応用可能だ。

工程内検査のデータを集約し、Cpkをリアルタイムでモニターするなどと言う応用は既に実用化されて久しい。数値データのみではなく言語データの解析も可能だ。

先日顧客工場でアフターサービス部門が管理しているデータを見せてもらった。
単純に保守用パーツの在庫データを管理しているだけだ。しかし見方を変えると、これは市場での部品故障のデータだ。このデータにより部品ごとのMTBFを計算し、保守部品の最適在庫量を決める事が可能になる。

更に踏み込んで、設計時にこれらのデータを活用すれば、期待寿命に適合した部品選択、設計が可能となる。データを一見した所、期待寿命に適合した設計によりコストダウンが可能になるというよりは、製品のライフサイクルコスト、可動率の改善に役立ちそうだ。どちらにせよ顧客満足を上げる事が出来る。

こういう考え方が出来れば、アフターサービスのデータは「事後対策」から「事前対策」のためのデータとなる。

もちろんその効果を得ようと思えば、収集しているデータ(保守部品の在庫量)だけでは不足だ。「事前対策」に必要なデータは何か、アフターサービス部門だけではなく、設計部門、品質保証部門と協力して検討する必要がある。

顧客クレームが発生してから行う「事後対策活動」は、緊急度が高く精神的な負担も大きい。一方顧客クレームの発生を抑える「事前対策活動」はより効果が高く精神的な負担が少なくなるはずだ。

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「データの活用」


このコラムは、2016年9月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第492号に掲載した記事です。

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