半沢直樹考


 今週のニュースからにも書いたが、日本中が「半沢直樹」に熱狂した様だ。かくいう私も、熱狂した(笑)

「半沢直樹」の視聴率も近年にない高視聴率だったそうだ。
何がその要因だったのか考えてみた。(考えてみたが、納得のいく答えはまだない・笑)

我々の意識の奥深くに、「勧善懲悪」があり、悪はいつか滅びると言う予定調和を無意識に望んでいる。そのハッピーエンドまでの過程が、過酷であればあるほど、物語は盛り上がる。

理不尽な扱いの出発点は、父親の自殺だろう。
銀行員になってからも、幾多の理不尽な扱いを受ける。そこに視聴者が感情移入し、腹が立てば立つほど、最後に「悪」を追いつめた時の達成感が大きくなる。

勧善懲悪と言う意識の上に、組織内の「悪」に対する怒りが視聴者の共感を得、高視聴率となったのだろう。

「空飛ぶタイヤ」「下町ロケット」は組織悪に対する怒りだった様に思うが、今回は組織悪と言うより、不正を働く個人が悪となっている。
「半沢直樹」では最後に頭取が、半沢直樹を子会社に出向させる辺りが組織悪だと指摘する事も出来るかもしれないが、それは続編を楽しみにしたいと思う(笑)

さてこの様なドラマが、中国でもうけるかどうか考えてみたい。

中国では、組織内の地位を利用して、個人が利益を得る事は当たり前、と言う風潮がある様に思う。これに対して「怒り」を持つ人間も多くいるだろうが、「諦め」が支配的なのではないだろうか?

もし「半沢直樹」が中国でも放映されれば、その「諦め」を解放するきっかけになるかもしれない。そういう意味では、日本より熱狂する人が多くいる様な気がする。このドラマが中国で放映される事は当分ないかもしれないが、その時の人々の反応が楽しみだ。


このコラムは、2013年9月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第329号に掲載した記事に加筆しました。

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