失敗から学ぶ:「最先端の植物工場 水も肥料も、工場おまかせ」


  • 今日の授業(24日)最先端の植物工場
     クルマの世界で注目される「自動運転技術」。農業の世界でも、誰がやっても高品質の野菜や果物が収穫できる技術の開発が進んでいます。○月△日に収穫したい――。あらかじめコンピューターに入力すれば、栽培管理はお任せの「植物工場」です。
  • 1日の誤差で収穫日指定
     千葉大学園芸学部(千葉県松戸市)の研究圃場(ほじょう)にある植物工場。鉄骨組みで、ガラス張りの建物が20棟近く並ぶ。天井のガラス越しに太陽光が降り注ぎ、トマトが赤く色づく。「工場」といわれるのはコンピューター制御で作業を省力化し、品質の良い作物を安定して収穫できるからだ。

     あちこちにあるセンサーで温度や湿度、日射量などを計測。それに基づいて冷暖房機や送風機が動き、水や肥料の供給、窓の開け閉めが自動で行われる。そうして最適な環境を維持し、光合成を促す。

(以下略)全文

(朝日新聞電子版より)

 前職時代に開発担当していたFAコンピュータは、温室栽培、酒造用のアプリケーションが有った。まさに上記の記事にある様な使い方を1980年代に提案していた。(私はハードウェア担当だったので、アプリケーションに関してはタッチしていなかったが)

「失敗から学ぶ」と言うタイトルなのに、過去の思い出か。とお叱りの声が聞こえてくる(笑)

上記記事の後半に、トマトの収穫後に完熟させる「青穫りトマト」に関する記述がある。完熟するまで圃場を占有しなければ、面積あたりの生産効率を改善出来る。または完熟するまでの時間を制御出来れば、出荷の平準化が可能になる。と言う着想が有ったが、研究に着手する余裕がなかったと言う。

そんな時に、具合よく(笑)卒論の研究が途中で頓挫してしまった学生がいた。彼に「青穫りトマト」の基礎研究として、圃場で完熟したトマトと収穫後完熟トマトの品質の違いを調査してもらった。この研究ならば、短期間で卒論をまとめられる。

研究の結果、ビタミンの一種、アスコルビン酸の含有量は、収穫後完熟トマト・圃場完熟トマトともにほぼ同じで、酸味と甘みのバランスも差がなかった。この研究成果が「青穫りトマト」研究スタートのきっかけとなったと言う。「失敗から学ぶ」と言うよりは、失敗が吉となった。瓢箪からコマ、怪我の功名とでも言う事例だ。

このコーナーの趣旨から言えば「失敗してもあきらめない」事例として考えていただきたい(笑)


このコラムは、2016年7月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第486号に掲載した記事に加筆しました。

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