完結編・灯油誤販売の対策


 今週のメルマガで,灯油とガソリンを間違えて販売してしまったという事故に対する現実的な対策を募集した.
「灯油と間違えてガソリン販売 福岡の石油店」

ヒューマンエラーをなくすためには,まずミスを防ぐ事が出来るようにはっきりと識別できるようにしておくことが重要だ.
更に一歩突っ込んでミスをしたら作業ができないようにする「ポカよけ(フールプルーフ)」まで対策ができると良い.

私が考えた「ポカよけ」は

※灯油とガソリンの給油口のネジ径を変えてしまう.

タンクローリィのホースを接続する地下タンクの給油口のネジ径を灯油だけ変えてしまう.こうすることによりガソリンを持ってきたタンクローリィのホースは灯油の給油口には接続できなくなる.

しかしタンクローリィのホースの接続口と地下タンクの給油口は規格化されており,これを変更するとなると,販売店ばかりか輸送業者にも影響がありうまく行かない.

この方法はタンクローリィのホースの接続口と給油口の間にアタッチメントを付けるようにする.

販売店は灯油のタンクローリィが来た時には,伝票を受け取るときに灯油用給油口に接続するアタッチメントをタンクローリィの運転手に渡す,アタッチメントの反対側はタンクローリィのホースが接続できる様になっている.給油後運転手は納品書と引き換えにアタッチメントを返却する.
という仕組みだ.

これでガソリンスタンド,タンクローリィともに最小限の変更で誤給油をポカよけできる.

以下ご投稿いただいたアイディアを紹介する.

※作業する上ですぐに判別出来る方法として

  • 形を変える=>給油口の変更=>費用がかかる(今回はそぐわない)
  • 給油口の色と表示を変える=>作業する人が間違わない

というのは、どうでしょうか?赤と黄色とか。

 色と表示による識別で徹底する方法ですね.
 「形を変える」というのはポカよけになります.

※設備改善等ハード面は変更できないという前提で考えました。

  • ガソリンと灯油の給油口に違う色を塗る(例えば、ガソリンは黄色・灯油は赤色)。
    灯油を販売するときに入れる容器の色をこの給油口の色と同一にする。
    表示の文字も同様に給油口の色と同一にする。
  • 給油時に、運転手や伝票とのダブルチェック
    「灯油の給油ですね。ここが灯油の給油口です。間違いないですね?」等の確認。
    納品予定との確認。

 このアイディアも色と文字による識別の徹底です.
 更にダブルチェックを追加されているところが良いですね.

※ガソリンスタンドの問題について考えてみました。
一番良いのは、物理的な対策かと思いますが、なかなか良い案が思い浮かびません。(色分け、表示、記録では弱い為)

  • 給油口の形状と給油ホースの形状を変え、間違った場合は給油(接続)出来ない様にする
     →しかし、相手側(タンクローリー給油ホース)の変更が必要なので、非現実的
  • 給油口に比重計?を付け、間違った比重のものを給油しようとしても、給油口が開かない
     →どれ位の設備投資が必要か不明

以上の通り、私の頭では良い案が思い浮かびませんでした。林さんや他の皆さんのアイディアを期待しています!

 こちらは初めから「ポカよけ」に絞って検討されたようです.
 「比重が違う物は給油できない仕掛け」というのは案外簡単な方法で実現できるかもしれません.
 例えばフロートが弁になっているような物をつけておけばできそうですね.
 ひょっとして実用新案が取れるかもしれません.

今回もすばらしいアイディアをありがとうございます.
私の設問で給油口の位置変更を非現実的なアイディアとして評価してしまったので,ちょっと「引っかけ」のようになったかもしれない.
その制約を一歩踏み込んで現実的な解決方法を考えるというのが良いだろう.


このコラムは、2008年11月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第60号に掲載した記事に加筆修正しました。

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