部下に仕事を依頼する時にどのようにされているだろうか?
日本の組織では「アレやっといて」で通じてしまう。しかし中国ではこれで上手く行くはずは無い。いや日本で上手く通じると言うのも過去の伝説だろう。仕事を依頼して翌日「アレどうなってる?」と訪ねても、期待通りの返事が返ってくることはまず無い。
「だから中国人は……」とか「今時の若い者は……」と嘆いても、問題は解決しない。問題の原因は自分にあると考えることで初めて解決出来る。
仕事の依頼には3つのステップが有る。
1)仕事の目的を明確にする。
2)仕事のターゲットを明確にする。
3)アウトプットのイメージを明確にする。
ステップ1は今から依頼する仕事は何の為にするのか?と言う目的を知らせると言う意味だ。
仕事を依頼する時に「What」と「How」はきちんと伝えるが、「Why」をきちんと伝えているだろうか?
例えば「生産現場の工具を整頓しておく様に」と指示することは「What」の指示だ。これは「作業」を指示しただけで「仕事」の指示ではない。
例えば自社の存在目的が「生産を通して豊かな社会の実現に貢献する」であることを理解した上で「工具の整頓により工具を探す時間をなくし、生産効率を改善する」ことが目的だと理解すれば、仕事の意義が理解出来る。
又は自社の存在目的が「仕事をとして従業員の成長を計る」であれば、仕事の成果は自分自身の成長となる。
仕事の目的、意義が理解出来れば「やっつけ仕事」ではなく使命感がある仕事となる。
ステップ2は「この仕事の対象は誰か」を明確にすることだ。
先ほどの「生産現場の工具を整理する」と言う仕事の対象は、現場の作業員であり、その結果社会の人々や自分自身が対象となるということだ。
経営会議の資料作成は、仕事を依頼した上司の為にするのではなく、経営会議参加者が対象だ。
ステップ3は、いつまでに、どの程度の品質でと言う仕事の合格基準を明確にすることだ。
「生産現場の工具の整理」がすぐにやらなければならない仕事か、暇を見つけてやっておけば良いのか?現状のまま整頓だけすれば良いのか、より整頓しやすくする改善が必要なのか?と言う合格基準を明確にしなければならない。「どうもウチの部下は気が利かなくて」「いわれたことは出来るが、工夫が出来ない」とこぼしている方は、ステップ3が不十分の可能性がある。「気を利かせること」「工夫すること」が上司の期待であることを明確にすることが必要だ。
上記の3ステップをした上で、以下の3ステップを相手に合わせて実施する。
ステップ1:仕事の手順プロセスを話し合う。
ステップ2:仕事の成果をよりよいモノにする工夫を話し合う。
ステップ3:ホウレンソウのタイミングを決める。
この3ステップは、仕事を依頼する対象の経験や能力に合わせて実施する。
相手が新人であれば、この3ステップは丁寧にやる必要が有る。
しかしベテラン相手にこの3ステップをくどくどやれば、逆効果だろう。
このコラムは、2016年5月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第474号に掲載した記事に加筆修正しました。
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