品質管理と品質保証の違いを考えたことがおありでしょうか?
私は会社員時代同僚と良くこの手の議論をしました.
議論をしたり,文章を書いたりすることで,自分の考えを整理することができます.
皆さんも私の記事をたたき台にして,考えてみてはどうでしょうか?
ISOの定義では,
■品質管理:品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部.
■品質保証:品質要求事項が満たされると言う確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメントの一部.
となっています.よく意味が分かりませんね.
私の解釈では,
■品質保証:お客様に提供する品物,サービスの質を保証するための活動全て.
■品質管理:品質保証をするための一手段.
ISOの定義と外れてしまっているように思いますが,こう考えると理解しやすいと思いませんか?
真摯に「品質管理」と「品質保証」について記載されているWebサイトに遭遇したので、コメントを記載します。
宜しくご査収下さい。
本サイトに書かれている「私の解釈では、…」は間違っているとは思いませんが、例えば「品質保証」の説明に「保証」と云う言葉を使っているので、少々分かりにくくなっています。
そこで、ISOの定義に従って「品質管理」と「品質保証」の違いを分かりやすく解説します。
※ISOではISO9001を踏まえて「品質管理」と「品質保証」明確に区別するスタンスに立っています。
先ず、比較的分かりやすい「品質管理」から説明します。
ご存じの様に「品質管理」は英語のQuality Controlの日本語訳です。
※ここで注意が必要な事は、「Control」も「Management」も日本語では「管理」と同一の訳語を割り振ってしまう点です。勿論、「Control」と「Management」は意味が異なります。
Quality Controlは正に「品質制御」の意味を持ちます。「計測無き所に制御無し」と云う名言が有る様に、「品質管理(制御)」は、或る製品(もしくは作業)の品質を計測し、「品質要求事項」を満たす様に制御する事です。
一方、「品質保証」とはQuality Assuranceの日本語訳です。日本語の「保証」と云う言葉が実態を表し難い言葉なので、「品質保証」が分かりにくくなってしまいます。
そこで、オリジナルのQuality Assuranceについて解釈しましょう。英語の辞書を引けば分かる様にassure(assuranceの動詞形)は「~を確信させる」とか「~を確実にする」と云う意味があります。
つまり、ISOの定義にある様に「品質保証(Quality Assurance)」とは「品質要求事項が満たされている事を確信させる」事なのです。言い換えれば「品質が良い事を確信させる」事です。
では、どの様な状況であれば、(人は)品質が良いと確信するのでしょうか?或る製品(例えば、家電製品)を買って使い込めば品質の善し悪しが分かりますが、それでは、遅いので、製品を買う前に製品の品質を判断したいところです。
では、使ってもいない製品の品質をどの様にして(人は)確信するのでしょうか?それはその製品のメーカーの信用度によって品質を判断します。有名メーカーの製品であれば、そこそこ品質は良いと「確信」しますが、聞いたことも無いメーカーの製品の品質は良いと「確信」しません。
更に、有名メーカーの製品は、何故そこそこ品質が良いと確信出来るのでしょうか?
それは、有名メーカーでは設計も製造も確かな技術や工程で製品を作っていると思えるからです。言い換えれば、有名メーカーの製品は確かなプロセスに則って、製造されていると思えるからです。
このプロセスの一部には「品質管理」プロセスも含まれますし、「品質目標」プロセスや「文書管理」プロセス等々も含まれます。
製品の品質を良くする(良く保つ)活動をしっかりやっていれば、その活動から製造される製品の品質はそこそこ良いと「確信」出来ます。
結論として、「品質保証(Quality Assurance)」とは、「製品の品質を良くする(良く保つ)活動をしっかりやっている事を詳らかにして、その活動から製造される製品の品質がそこそこ良いと「確信」を与える事」です。繰り返しになりますが、「品質管理/制御(Quality Control」とは或る製品の品質を計測し、製品が良い品質を具備する様に制御する事です。
ところで、ISOの定義には「品質マネジメント」と云う言葉が出てきます。これはQuality Managementの訳で、もし、Quality Managementを品質管理と訳すとQuality Controlとこんがらかるので片仮名を使って表現しています。
長文になってしまいましたので、「品質マネジメント」の説明は省略します。悪しからず…..。
Kobayashi様
長編のコメントありがとうございます.
日頃何気なく使っている言葉を,きちんと考えてみると,新しい気付きがあったりして面白いものですね.
4年前に投げた石の波紋がようやく戻って来て嬉しいです(笑)
Wikipediaよりも良質。
品質管理と品質保証について、自分の中でモヤモヤしている部分がありましたが、ここに記載していただいた内容で雲が晴れた感がありました。チョットすっきりしました。
ありがとうございました。
yasuqcqa様
過分のお言葉ありがとうございます.
今読み返してみると,私が投げた問いかけよりも,kobayashi様のコメントが秀逸ですね.ま,これもまず問いを立てた者の貢献もあったと言うことで,お礼を申し上げます(笑)