品質と言うのは製造業ばかりではなくすべての産業に共通の経営基盤だと思います.
「品質」と言うよりは「クオリティ」と言った方がわかりやすいかもしれませんね.
今回はレストランの例をお話します.
接客のクオリティは,作業者(接客係)の人的クオリティによって直接影響されます.
この人的クオリティをどう向上するかと言うのが顧客満足の鍵になります.
勿論料理が美味しいと言うのは「当たり前品質」です.それを超えて「感動品質」を提供しようとすれば,他を圧倒的に引き離す美味しさもしくは,サービスのクオリティが必要です.
私が時々行く中国のレストランは味も値段もいいのですが,服務員の態度がなっていない.それでもたくさんの人で繁盛している.不思議です.
そういう私も,いつも腹を立てて店を出るのだけど,忘れたころにまた来てしまう(笑)
さすがに一緒に食事をしていた中国人の友人も腹を立ててしまいました.私は彼に,「ここで一週間働いたらどうして彼らがあんな態度なのか分かるよ」と話しました.
私にはこのレストランの経営者に問題があるように思えます.
従業員の給料は経営者の財布から出ているわけではない.お客さんの財布から出るのだ.お客さんに満足してもらうことが仕事だ.と言う基本的な事を教えていないのでしょう.
笑顔,お客さんの目を見て聞く・話す,これはコストのかからない最良のサービスです.
顧客満足を得るためにはまず従業員満足を与えなければなりません.不満だらけの人が,お客様に満足など与えられません.ここの従業員は朝のシフトだと6時ころに出勤して準備を始めていると思います.きっと朝食もろくにとらずに仕事をしているのでしょう.一番混む時間帯9時ころになるとお腹が空くでしょう.空腹でレストランの仕事をするのも苦痛です(笑)
サービスは掛け算です.一人でもこういう人がいれば他の人がどんなによくても結果は「0」になってしまいます.もっと困るのはこういう気持ちはすぐに他の従業員に伝染することです.
私が経営者ならば,仕事前にお腹いっぱいになるように食事をとらせます.
従業員にとって忙しくても,暇でも同じ給料ならば楽したくなります.利益の1/3は従業員に還元するよ,と言えば従業員は忙しいほど働く張り合いがあるというものです.
勿論一人ひとりの作業手順は出来ているでしょうが,「チームワーク」としての作業手順ができていないと思います.従って上述の坊やのようにお客様に何か頼まれても「ない」とか「知らない」と答えてしまうわけです.彼は料理を運ぶ係りですから,お盆しか持ってませんから.
小さな食堂ならば,経営者の背中を見て従業員が育ちますが,規模が大きくなるとそれでは間に合いません.従業員を育てる「仕組み」と「仕掛け」が必要です.