貧乏輸出大国・中国


 先日中国で工場経営をしておられる方からこんな話を聞いた.
中国は廉価大量生産品をどんどん作り輸出することにより,世界中にどんどん貧乏を輸出しているというのだ.

非常に面白い論点だと思う.
安い物を更に安くして,自らどんどん苦しくなっている.更に世界中の競争相手も苦しくしている.「貧乏輸出大国」という表現はなかなか言いえて妙だ.

しかし我々はこの競争に巻き込まれるわけには行かない.
良い物を造って,高くても喜んで買っていただける,
こういう戦略で商売をしなければ未来はない.

最低賃金が毎年十数%上昇しても,毎年生産性を30%改善すれば良いだけだ.
工夫に工夫を重ねより高品質・高付加価値の製品を作る.
お客様中心主義で高フレキシビリティ生産をする.
これが日本のモノ造りの心だ.

我々は中国の社会・文化の中でモノ造りをさせていただいている.しかし日本のモノ造りの心だけはローカライズをしてはならない.むしろこういう環境であるからなおさら日本のモノ造りの心を際立たせなければならない.


このコラムは、2008年9月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第51号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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