愛知・豊田自動織機の工場で爆発、社員1人死亡
7日午前5時10分ごろ、愛知県大府市江端町1丁目の豊田自動織機大府工場内で爆発があり、作業をしていた同市共和町の同社員高木甲子朗(こうしろう)さん(24)が全身にやけどを負って病院に運ばれたが、間もなく死亡した。爆発があった建物の屋根が曲がり、窓ガラス約50枚が吹き飛んだ。東海署は業務上過失致死の疑いで捜査している。
(asahi.comより)
壮絶な事故である.
報道によると作業現場は,
「製造ラインから流れてきたアルミ製のピストン部品(長さ12センチ、直径3センチ)を4本ずつ、液体の入ったステンレス製の水槽(長さ1メートル、奥行き60センチ、高さ40センチ)の中に入れ、不良品がないか調べる作業をしていた。
液体は塩化ナトリウムを液化させたものとみられ、温度は530度に保たれていた」
530℃に加熱され液体となった塩化ナトリウムというのが想像を絶する.固体を加熱すれば液体となるというのは理屈としてわかっていても,食塩が液体になっている様子を想像する事が出来ない.
実際どんな作業なのかは想像ができないが,作業員の安全は十分に考慮されていたのだろうか?
高温の液体塩化ナトリウムの水槽内に何かを入れて,塩素と結合してしまうとナトリウムが単体になってしまう.ナトリウムが高温化で激しく反応したら大変なことになる.化学の知識がないのでこんな想像をしてしまうが,恐ろしく危険な作業をしていたのではないだろうか?
薬剤を水槽に投入後爆発があったと報道されている.
職場に不要な物(あってはならない物)がおいてあり,誤って投入してしまったのではないだろうか?
以前プラスチックケースを組立てる工程に防錆スプレーが置いてあったのを見て班長を叱った事がある.
こちらは作業員が危険になるようなことはないが,防錆スプレーをプラスチック材料にかけたりすると,「油脂クレージング割れ」が発生する.
この不良は時間がかかって発生するので,工程の中では発見できない厄介な不良である.
もちろん防錆スプレーがおいてあるだけで,プラスチックに油脂が付着するはずはない.しかし作業員が誤ってこれを使う可能性はある.したがって防錆スプレーはプラスチック組立工程にはあってはならない物なのだ.
この報道の最後に,
「爆発があった工程は当面止まる見込みだが、同社は顧客への供給に影響はないとしている」
と付記されている.若い従業員を亡くしてしまったのに顧客への影響しかコメントはないのだろうかと悲しくなる.
このコラムは、2008年5月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第33号に掲載した記事を改題・修正しました。
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