作業ミス対策


 単純な作業ミスによる不良の再発防止対策にお困りだったりしないだろうか.
「作業者に注意をした」「作業者に再教育をした」「作業者に罰金を課した」「検査の追加」など,対策の効果が実感できないような再発防止対策が報告されてくる事がままある.

一番驚いたのは掲示板にA4用紙一杯に「作業に注意します」と何度も繰り返し書かれた反省文?が張り出されているのを見たときだ.多分現場の班長さんが,作業者にどう指導してよいかわからず,学校で同じような罰を先生から課せられたのを思い出して,同じ事をしてみたのであろう.

笑ってはいけない,班長さんはこれでも真剣に考えたのであろう.
上位職者がきちんと班長を指導できていないのが問題だ.

まずは作業ミスがどうして発生するのかを分析する必要がある.

  • 疲労による作業ミス
  • ついうっかりミス
  • ついうっかり作業飛ばし

一般に1件の不良が顕在化する影には,工程内で見つける事が出来た不良が29件発生,300件の「ヒヤリ・ハット」する出来事があるといわれている.(ハインリッヒの法則)

顕在化した不良だけを見ていると,なかなか原因が分からない.これらの潜在不良に着目して分析する必要がある.

時系列で,曜日別で,作業員別で,生産機種ごとに,など色々な切り口で見る事が出来る.

こういう分析により作業員の疲労度やぼんやり度に法則が見えれば,対策を打つ事が考えられる.

どんなに注意していても所詮は人間である.ミスは必ずある.
疲労を軽減する作業になっているか.注意力に頼る作業になっていないか.
という着眼点で対策を考える.

またミスが発生しない仕組み,ミスが発生しても流出しない仕組み「ポカよけ・ダブルチェック」を導入する.

それでもどうしても作業者の技量に頼らざるを得ない場合はある.
こういう場合は「作業者の再教育」という対策にならざるを得ない.
「作業者の再教育」という対策が悪いわけではない.

  • 教育効果がきちんと確認できているか.
  • 教育効果が実感できるものか.
  • 新人作業員,別の作業員にも教育が確実に行われる様になっているか.

ということが保証できていれば,対策として合格点がもらえるであろう.


このコラムは、2008年10月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第56号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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