LED灯工場訪問


 LEDは,高輝度化,青色LEDの開発により多くの分野で応用されている.
自動車のストップランプ,信号灯,屋外灯など今までLEDが使えるとは思っても見なかった分野でも応用されている.

室内照明も,白熱電球→蛍光灯→LED灯の順に進化し省エネに貢献してきた.

省エネの社会的要求の背景もあり,需要は急速に拡大している.それに伴って,中国華南では,どこもかもLED灯の生産を始めている.以前知り合った自動化機械を作っている中国人社長は,工場のすぐ横にLED灯を生産する工場を開いていた.

LED灯を造るだけならば,LED素子を買ってきて,実装しランプに組み立てればよいだけだ.大きな設備投資なしでも生産が開始できる.そういう新興勢力が一斉に,家庭用の室内LED灯を生産する.価格はあっという間に値崩れし40元を切っている.

儲かりそうだと,あっという間に人を集め工場を立ち上げてしまう.中華系工場経営者の決断の早さには脱帽する.
しかし,後発メーカはそれなりの戦略を持たなければ,不毛な価格競争に明け暮れることになる.その結果忙しければ忙しい程,貧乏になる.悪いことに,同業者も貧乏に巻き込んでゆく.

最後には,資本の力で徹底的に機械化し,生産効率を上げかつ,生産物量を確保できたところだけが生き残る.
まるでチキンレースだ.投資が回収できなかったら?と躊躇した瞬間に負ける.

例えば1個40元のLED灯は造らない.400元で売れるLED灯を作る.
月産10万個の製品は作らない.1個ずつ特殊仕様の製品を作る.
そんなことを考えなければ、あっという間に価格競争に巻き込まれる。
営業効率,生産効率は悪くなる.しかしそれは,月産10万個の工場の構えと、生産方法をそのままにしているからだ.多品種少量生産・販売の仕組みを作れば良いのだ.

ネジや梱包用の段ボール箱など,まとめ買いが当たり前だと考えている製品を一個から受注生産することが出来れば,ビジネスのパラダイムシフトが起きるはずだ.


このコラムは、2011年1月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第187号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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