ナゼ・ナゼ中国


 本日のテーマ「特殊工程の品質評価」で「ナゼ・ナゼ5回」を少しお話したが,中国にいるとナゼを連発することが多い.分からないことだらけだ.

私が住んでいる近所には夜になると露天商がたくさん集まってくるエリアがある.洋服,靴,靴下,巨大なぬいぐるみ,ボールペン,財布,髭剃りの刃などありとあらゆるものを売っている.

当然これらのものを売っている人たちは営業許可を持たず,もぐりの営業だ.しばしば公安が来て取り締まっている.

時々露天商の人たちが,商品を袋やダンボールに入れたままずらりと腰を下ろして並んでいるのを見かける.まるで田舎に帰る人が大きな荷物を持ってバスターミナルでバスを待っているようだ.周りを見渡すと,案の定公安の係官が数人いる.

露天商たちは公安に見つかり,身分証明書を取り上げられしょっ引かれるため公安の収容車を待っている,と思っていた.

しかしどうも様子がおかしい.実は露天商たちは公安が引き上げるのを待っているのだ.公安がいなくなると,露天商たちは一斉に商品を並べ始める.多分公安係官は、彼らが露天商であることはわかっているのだろう。

まだナゼがある.
このようにして公安と一緒に露天商が所在無げに腰を下ろしているエリアからほんの数十メートルはなれたところでは,堂々と店開きしている露天商がいる.

公安の係官は,決められた勤務時間中に決まられた範囲で違法露天商が営業をしていなければそれで仕事を達成したと言うわけなのだろうか?

中国には「上に政策あれば,下に対策あり」とよく言うが,「上」も「下」の事情をよく理解し,政策を柔軟に運用していると言うことなのだろうか?
中国のナゼは奥が深い.

このメールマガジン配信後に、読者様からコメントをいただいた。

  • T様のコメント
    露天商の営業許可証取り締まりは、普通には「工商行政管理局」(通称、工商局)です。
  • I様のコメント
    露天商がいる場所はどこか、その場所の管理者は誰か、その場所における中国人民と管理者との関係、そして法律と一般人民との関係はどういうものか等を考えれば、この謎の現象の答えがでると思います。

公安と工商局を間違えていたようです.係官の制服は似ていますが,胸のマークが違っています.T様ご指摘ありがとうございます.
I様は中国人のモノの考え方を,内関係と外関係に分けて説明するユニークな視点を持っておられます.


このコラムは、2009年11月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第126号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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