外部の力


 北京オリンピックで中国がこれだけ多くのメダルを獲得するとは思っていなかった.

シンクロナイズドスイミングの中継を見た.表彰式ではいつも日本チームがいる場所に中国のチームがいた.中国シンクロチームは日本のシンクロコーチ第一人者・井村雅代氏を監督として招聘したのだ.井村氏は,たった1年半の間に,メダル圏外だったチームに銅メダルを与えた.

日本がメダルを取れなかったことは残念だったが,日本人の監督が中国のチームを勝利に導いたと言うのは誇りに思ってよいだろう.元々日本の敵は中国ではなかったはずだ.スペイン,ロシアに勝たなければ中国と一緒に表彰台にあがることはできない.

中国の五輪チームを見直してみると外国人監督が多いことに気が付いた.
バスケット,フェンシング,ホッケー,女子ハンドボール,馬術,セーリング,自転車,レスリング,野球など.メダルに届かなかった種目もあるが,外国人監督がそこそこに活躍したと評価してよかろう.

オリンピック開催国の面子にかけて,中国が一流のコーチを集めた結果と言うことだろうか.

これは日本の産業界が力をつけてきた過程と同じだ.
欧米の一流企業と技術提携をしたり,合弁会社を作ったりしてその技術力や経営ノウハウを勉強した.それが日本の産業界の基礎になっているといっても良いだろう.

外部の力を借りる,方法を真似ると言うことは悪いことではない.そこから自分たち独自の文化に進化させれば良いだけだ.GEのウェルチが言っている「ベストプラクティス」というのは,よその真似をしようということだ.


このコラムは、2008年8月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第48号に掲載した記事です。

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