マルチカラーの時代


 山根一眞さんの「メタルカラーの時代」をもじって「マルチカラーの時代」というテーマを考えてみた.

中国にも「ホワイトカラー」「ブルーカラー」という言葉はある.
それぞれ《白领族》《蓝领族》という。

中国の工場では作業者《蓝领族》と文員・技術者《白领族》がしっかりと分かれているところが多い.作業者から文員への登用の道を用意している会社もあるが,文員になると作業現場には入らなくなってしまう.
又大卒の人間に作業現場研修をさせようとすると辞めてしまう.工場勤務なので作業服を支給すると着るのを嫌がる.ということもあるようだ.《白领族》としての間違った誇りがそうさせるのだろう.

中国では毎年最低賃金が上昇しており,特に沿岸地区では安価な労務費を期待したローコスト生産は難しくなってきている.実際には最低賃金で求人をかけても作業者は集まらない.

これからは作業者一人一人の能力を高め,高品質・高付加価値の生産活動に移行してゆかなければ中国では生き残れないだろう.

この様な考える力を持った従業員に「マルチカラー」という名前をつけてみた中国語に訳すならば《彩领族》とでも言えばよいだろうか.単純に多能工を意味する言葉ではない.
《白领族》が《蓝领族》を管理するという構図ではなく,作業者も作業改善を考える.技術者も作業者と一緒になって作業する中で作業改善,工程改善を考える.この様な人たちを《彩领族》と呼びたい.

日本の製造業が力を持っていたのは,工場労働者が「マルチカラー」だったからだと考えている.

「痛くない注射針」を作れる町工場,砲丸投げの玉を世界中に輸出している町工場,こういう今でも力のある中小企業は経営者,従業員が全て「マルチカラー」なのだと思う.

中国の工場でも《彩领族》を次々と育て上げる仕組みと仕掛けを作り上げることが,競争優位に立つことになると考えている.


このコラムは、2008年2月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第19号に掲載した記事です。

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