餅菓子から基準の7千倍の殺虫剤成分 福岡の「もち吉」


 福岡県は17日、和菓子メーカー「もち吉」(本社・同県直方市)が10月末に販売した餅菓子「えん餅」の小倉あん入りのものから、最大で基準値(0.001ppm)の7千倍の有機リン系殺虫剤フェニトロチオンが検出されたと発表した。健康被害は確認されていないという。
県は食品衛生法に基づき、同社に製品の回収と原因究明を指示している。

(asahi.comより)

 この事件は作業員が故意に殺虫剤を混入させた事が判明している.
この作業員は職場での不満などにより精神的な変調をきたしていたのだろう.事件発覚後自殺をしている.

この会社の幹部は「大切な仲間を失ったのは断腸の思い」と悔やんでいるが,職場での彼の変調を把握できるすべはなかったのだろうか.

自らの希望で配置転換をしてもらった後に事件を発生させている.
常日頃から職場でのコミュニケーション(上司・部下,先輩・後輩,同僚同士)がきちんと出来ていれば,仕事で悩むこともなかったであろう.

人間は機械と違い心を持っている.そのため機械に出来ない仕事も出来る.
一方で心に変調が発生すれば機械がやらないような事をしてしまうのである.

社員全員に企業理念を浸透させ,職場でのコミュニケーションを十分に図る必要がある.

以前に不祥事を発生した不二家は事件後企業理念に「お母さんの気持ち」が追加されている.従来の企業理念と他は殆ど変わっていないのだが,全員が子供を思うお母さんの気持ちで仕事をすれば,期限切れの材料を使う事を現場が許さなかったのではなかろうか.

従業員の仕事に対する誇りを高めなければ,このような事故は完全には防げないだろう.

しかしちょっとした出来心で,ノイローゼ気味で魔が差した,などというのはきちんとした安全の仕組みと仕掛けで十分防げるはずだ.

食品工場に限らず,不良品が出荷品に混入される,という事故は発生しうる.

今回の事例をもとに皆さんの工場でどのような対策が事前に打てるのか検討してみる良い機会だろう.

では今週のお題(笑)
あなたが「もち吉」の製造責任者だとして,どのような再発防止対策を打ちますか?

従業員に対する心のケアは別に実施するとして,職場にてこのような事故が発生しないための対策をお考えください.


このコラムは、2008年11月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第64号に掲載した記事です。

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