完結編・もち吉


今週のメルマガでは,もち吉の従業員が製品に殺虫剤を混ぜてしまった事件を取り上げた.

従業員が自分の仕事に誇りを持っていれば,この様な事件は発生しないはずだ.意識や心のケアが重要である.
しかしちょっとした出来心で,ノイローゼ気味で魔が差した,などというのはきちんとした安全の仕組みと仕掛けで十分防げるはずだ.

と記事に書かせていただいた.

【今週のお題】
 あなたが「もち吉」の製造責任者だとして,どのような再発防止対策を 打ちますか?

 従業員に対する心のケアは別に実施するとして,職場にてこのような事故が発生しないための対策をお考えください.

【私のアイディア】
整理整頓を徹底し,職場には要らないモノをおかない,いつもと違うモノがあればすぐに気が付くようにしておくのがまず基本だ.

作業服のポケットをなくしてしまうなどの工夫により,職場に不要な物を持ち込めないようにする.

工程の「間締め」をして隣同士の作業者の顔が常に見えるようにしておく.
同僚の目が抑止力になりうると考える.
更に生産性の改善にも役に立つ.同僚同士声をかけながら遅れている工程を助けるなど職場内の関係も良くなるだろう.

職場への出入りの際に,持ち物チェックをする,という案もあるが,これは善良な人のモチベーションを下げないように工夫が必要だ.

【H様のアイディア】

  • 制服の確認・改良:異物混入防止のために、ポケットのない制服へ
  • 私物の持ち込み禁止:私物は監督者の目の届く場所に一括で施錠して保管
  • 薬剤保管方法:薬剤はかぎ付き保管倉で。鍵は工場事務所の管理者層が保管。
    使用者はその都度、使用する理由等を告げ鍵を借りる。(貸したものは誰が借りたかを記録)使用者は使用した量と残量を書き実地棚卸をしたうえで、差異がないか確認、上長のダブルチェックをうける。
  • PCO業者:持ち込んだ薬剤、使用した薬剤の名前・量を提出させる。

以上の内容は、現在食品工場ではあたりまえに行われていることだと思いますが、きっとできてない事があったのでしょうね。

従業員以外にも出入りの業者さんも管理をしなければならない.
このあたりのご指摘はさすが専門家だ.
H様は食品業界の専門家だ.食品の安全問題にも造詣が深い.

【S様のアイディア】
今回のお題は難しいです。

問題点が明確にならない(予想出来ない)ことが、問題?です。

  • 従業員が異物を入れてしまう。
  • 心身喪失者の作業許可  異物が作業現場に持ち込める。
  • 現場リーダの目が届かない  作業に入る前にチェックが無い。

対策は、

  • 従業員教育の再構築・日ごろの健康管理・リーダの意識向上
  • 朝礼等での活動フォロー
  • 作業服への着替え時に持ち物チェックする
  • 啓蒙活動(ポスタなど)

でしょうか?
あまり、具体的にはありませんが・・・

違う業界の問題を考えるのはなかなか難しいものだ.
しかし業界を越えて色々な問題点を考える習慣を持っていると,問題が発生したときに解決のための引出しをたくさん持っていることになる.
毎回お題に投稿いただいているS様もそういう習慣をもたれた方だと思う.

【osmiwk様のアイディア】
 一人作業を止め、複数で作業し、お互いに監視できるようにする。
というのが一番良いと思います。
 作業場に私物持ち込み禁止といっても、毎日持ち物検査をするのも大変です。
また、確実に行なえる方法はないと思います。

同僚同士でお互いに監視しあう方法です.
私もこの方法が有効だと思っています.特に今回事件を起こしてしまった人物は職場での孤独感により精神に変調をきたしていたと思われる.
作業が仲間同士でやっていると言う感覚があれば事件そのものが発生しなかったかもしれない.

【O様のアイディア】
従業員に毎月、その家族・友人も利用できる自社商品券を配る。少額でよい。
自分が製造した商品を身近な人も購入している事を常に意識してもらう為です。
出来心、魔が差すなどの「故意」の事故は防げるのではないでしょうか。

すばらしいアイディアだ.
自分が毒を混ぜてしまった物を親類縁者が食べてしまう危険性があれば,めったなことは出来ないわけだ.


このコラムは、2008年11月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第65号に掲載した記事です。

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