世界経済の低迷


 中国政府の発表によると,失業率が5年ぶりに4.2%に上昇したという.SARSによる一時的な失業率上昇以来の出来事だ.今回は世界経済が一気に冷え込んだため生産量が激減しているようだ.4.2%という数字の信憑性はさておき,街には職がないと思われる若者が多く見られる.分母が圧倒的に多いので失業者の数も半端ではないのだろう.

失業者の数だけではない.
ロジスティック業者にもこの影響が直撃している.
原材料の輸入,完成品の輸出ダブルパンチで売り上げが激減していると聞いている.

以前指導していた台湾資本の工場は,ピーク時には4000人ほどの従業員がいたが,今は200人程度に減らしていると聞いた.自動化により省人化に成功したわけでは,多分ないだろう.
2フロアー20本のメインラインは今は1,2ラインしか生産維持できていないのではないかと心配をしている.

しかし世界経済の低迷を嘆いても始まらない.
経営努力で世界経済をコントロールできるわけではない.
従って同業他社皆同じ経営環境だ.
この逆風の中で経営体質の強化が出来れば,逆境はチャンスに変わる.

実際中華系の同業者が倒産したことにより,受注が増えている会社がある.
不景気を機会に,中国工場の経営理念を策定しローカル幹部の育成に取り組み始めた会社もある.

生産量が落ちている時こそ,今まで取り組めなかった重要だが緊急度の低い課題に取り組める事が出来る.
生産性の改善,レイアウトの変更,人材の育成など今が手をつけるチャンスだ.


このコラムは、2008年12月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第68号に掲載した記事です。

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