データは現場・現物で見る


 不良の低減とか生産性の改善をする場合,データは重要な鍵になる.
しかしデータから見えてくることだけでは改善はできない.

例えば工程間の作業バランスを改善するために,各工程の作業時間を測定し机上で検討してもあまり良いアイディアは出ない.つまり計測した作業時間データは,今の作業方法によるデータでありそれをいくらひねっていても大きな改善にはならない.

作業時間と仕上がり数量から平均作業時間を求めても何も分からない.このデータからは,作業者ごとの作業時間のばらつき,作業者間の作業時間のばらつきは見えてこない.

作業現場を良く観察することにより改善するポイントが分かる.
着眼点はばらつきだ.

理論的な作業時間分析どおりに作業ができていることはあまり無い.
作業時間のばらつきから無駄な動作が見えてくる.作業者間のばらつきから,習熟度に依存してしまう作業や,細かな作業方法の違いによる効率の差が見えてくる.
これらは現場でしか分からない改善ポイントだ.

不良統計データも現場・現物で見直す.同じ不良現象の中に,別の原因が含まれている事がある.
例えば異物や傷による外観不良は統計データだけでは,改善ポイントは見えない.
現場・現物を見ることにより初めてどこで,どうして異物や傷が発生しているかがわかる.

データを取る事が無駄というわけでは無い.悪さ加減を知る,改善効果を測定するためにもデータは必要だ.改善に役に立たないデータの収集や加工はやめる.その時間があれば現場に出かけるほうが効果が高い.


このコラムは、2009年7月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第107号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】