【華南マンスリーコラム】ジャンプで改革


#9跳ぶ!
今月はなぜか跳んでおります.小道具とはいえないかもしれないが,飛翔力について書かせていただく.
改善というのは一歩一歩登ってゆくイメージだが,改革というのはぴょんと跳び上がるイメージである.
例えば生産現場で新しい生産設備を導入する.そうすると生産性は一気に改善される.
大きな投資をしなくても改革は可能である.生産方法の工夫で4人作業が1人になったりする.
しかし実際には新しい設備,新しい方法に作業者がなれるまで生産性が落ちる事がある.改革でもやはり改善と同じように習熟するため一歩一歩地味な部分はある.
特に今まで慣れ親しんだ作業を変更するのは現場作業者には抵抗がある.原理的に効率のよい方法を採用しても実際にデータを取ってみると生産性が落ちている事がありうる.こういう場合は現場の班長・組長クラスの監督者を巻き込んで改善を進めなければならない.

一つの部署の改善が全社の改革を牽引する
会社はひとつの部署で成り立っていることはまずない.色々な部署が関連を持って成り立っている.あたかも各部署がゴムひもでつながっているようなイメージである.
例えば製造現場の能力が上がると,設計が変わらなければならなくなる,生産技術も変わらなければならない.
製造のリードタイムが改善されれば,生産計画が変わらなければならない,営業の顧客への売り方も変わる,そしてそれは物流にも影響を与える.
ひとつの部署が上に上がってゆくとある閾値を越えた時に,ゴムひもでつながっているすべての関連部署もぴょんと跳び上がる.
これが全社が改革される瞬間だ.
 
業界の常識も跳び越える
ある業界では工程内不良が十数%あるのが常識だったりする.従って出荷品質もそれなりの値にしかならない.品質を保証するために全数第三者検品をすることになる.
例えば電子部品の業界は出荷品の不良率が20ppm以下であるのが常識であったりする.
また自動車部品業界の常識では出荷品不良率は0ppmだ.
業界トップを目指していては改善はできても改革はできない.
異業種にベストプラクティスを求め業界常識の壁を飛び越えなければならない.

このコラムは中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2008年4月号から1年間連載した「炎の小道具12選」に寄稿したものです.