【華南マンスリーコラム】グーでやる気向上


美点凝視
#11
今月はグー.グー・チョキ・パーのグーではない.「グッジョブ」のグーだ.親指を立ててグー,褒める時のポーズだ.
良いところを見つけたらすかさず褒める.毎日何度でも笑顔でこれをやる.
部下を育てる時には,欠点を矯正するよりは,長所を伸ばす方が簡単だ.「美点凝視」部下の良い点をしっかり見てそれを褒める.
欠点は仕組みで補う.例えば「ついうっかり」の人にはチェックリストを使う方法を教える.「ついうっかり」を防ぐ仕組みを考えさせる.
激しいコスト競争,毎年上がる人件費,不況による受注減など暗い話題が多い.更に毎日部下の欠点を叱っていたのでは指導者の心も暗くなってしまう.部下のよいところを探して褒める,このほうは精神衛生上も良いと思うがいかがだろうか.

褒めたおす
有名な経営者で叱り飛ばすことを信条にしておられる方がおられる.叱り続けることにより,部下の反骨精神を引き出し,能力を高めるという考えだ.
反骨精神のない人間はどんどん辞めて行き,強い人だけが残る.ではただ叱っていれば良いかというとそうではない.表面的には見えないが,それで成功している経営者は人格で従業員から慕われているはずだ.
それよりは褒めたおすことで部下のやる気,成長意欲を引き出すほうが楽だ.というのが私の考えだ.
しかしこれは叱らなくて良いということではない.
 
一万元を叱らず,一毛を叱る
叱ることは相手の成長を願う愛情表現だ.ミスがあれば叱らなければならない.
大きなミスをした人間には怒りたくなる気持ちをぐっと抑え,ミスを起こした原因と対策を一緒に考えさせる.
会社に一万元の損失を与えたことは本人が一番理解しているはずだ.そこばかり叱ったのでは相手は萎縮し,次から叱られないようにしか仕事をしなくなる.
しかし一毛を無駄にする人間は思いっきり叱らなければならない.例えば作業台にネジが一つ落ちている.これを叱らなければ,皆がネジ一本くらいという気持ちになる.こういう気持ちが全従業員に蔓延すれば,あっという間に一万元の損失になる.
作業台に落ちているネジが製品に取り付けるべきものであれば,更に大きな損失になる.いつもネジが落ちている工場ではそれを防ぐ手立てはない.

このコラムは中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2008年4月号から1年間連載した「炎の小道具12選」に寄稿したものです.