失敗と言えるかどうか判断しにくいが、新型コロナウィルスに対する対応の日中の差を考えて見たい。
「屋形船の従業員ら2人の感染確認 10人が発熱など症状」(朝日新聞)によると、タクシー組合の新年会には約80人が参加し、このうち約10人に発熱などの症状があるとでていた。中国で起きていることを「対岸の火事」としか考えていないのだろう。
2月12日の羽田発広州白雲行きのJAL便で中国に来ている。搭乗機の機内には十数名の乗客しか乗っていなかった。そのほとんどが中国人旅客のようだった。広州白雲空港に到着して驚いた。いつも大勢の人が入国審査に並んでいるが、私の前には1人しかいなかった。いつも利用している空港バスもガラガラ。
羽田空港で体温測定を受けてから白雲空港で2回、バスに乗車する時に1回、高速道路を出たところで1回、地下鉄に乗車する時1回、マンションのゲートをくぐる時に1回、合計で6回体温測定をした。
入国審査の時に、問診票を提出する。これにより過去2週間の滞在場所、健康状態、中国での滞在先、電話番号、機内の座席番号がパスポート番号とともに記録される。空港バスでも同様の記録が取られる。同じ機内、同じバスに乗車した人が発病したら、同乗者は全員隔離できることになる。
食事のために街に出るが、飲食店は全て店内での営業を停止している。食事はウーバーイーツと同様の宅配バイクで届けられる。配達員はマンションの敷地内には入れず、ゲート前に置かれたテーブルまで届ける。
「新年会」など中国ではあり得ない。
食料を買い込むため近所のスーパーに出かけた。ここでも体温測定と、手の消毒をしてから店内に入る。買い物客は全員マスクをしている。(マスクを着用せず外出すると捕まる)その上防護メガネをし、ゴム手袋に透明な雨合羽まで着用している人も見かける。
日本より中国の方が安全ではないかとさえ思える。
さらにすごいのは、当局は人の動線を携帯しているスマホのGPS機能を使い補足しているようだ。知り合いの工場に突然係官が来て、帰省先から戻ったばかりの従業員2名を隔離施設に連行した。この従業員2名は湖北省に滞在していた訳ではない。湖北省内の高速道路を通過しただけだ。
別の工場では、従業員に支給するマスクが足りないと嘆いている。毎日係官がマスクの在庫をチェックしにくる。誤魔化すこともできない。
日本で同じことができるとは思えないが、中国政府の本気度が伺える。
このコラムは、2020年2月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第943号に掲載した記事です。
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