データの活用


 先週はダイキャスト製品を生産する中国民営企業を訪問した。
金型の設計から、成形、表面研磨、表面処理、塗装までワンストップで生産できる工場だ。創業以来優良な顧客があり、受注・売り上げを順調に伸ばしているが、利益が出ないと相談を受けた。

生産現場を一回りして、利益が出ない理由が想像できた。工程内不良が多いため利益が出ていないようだ。

総経理の話を聞くと、生産の歩留まりや直行率などのデータを活用していないようだ。ダイキャスト製品は、工程内不良が発生しても不良品を鋳潰して再度成形することができる。直行率が低くても材料コストは増えない。しかしやり直しのための労務費をはじめとする様々なコストが発生しているはずだ。

まずはこれらの損失コストを機種ごとに把握しなければならない。
そして工程内で手直し(例えば反りなどの変形の手直し)の損失コストを機種ごとに把握する。そして機種ごとに損失コストを集計し、損失コストの大きい機種から改善をしていけば良いはずだ。

作業による不良要因が少ないので、金型の設計を改善すれば損失コストは低減できるはずだ。

そして次のステップは、設計完了後試作段階で設計の完成度をデータで評価し、一定以上の直行率が確保できていることを確認したのちに量産を開始する。データを活用して製品実現プロセスに関門を作る。こうしておけば、私の手を離れた後も安定した品質が得られ、利益が出るはずだ。


このコラムは、2019年12月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第921号に掲載した記事です。

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