不況に勝つ「省エネ」
環境問題に対する取り組みとして「省エネ」の重要度は高くなっている。儲かる工場の観点では、省エネはコストダウンだ。電気、ガスなどのエネルギー源を節約することによりコストダウンになる。
まずは計測すること。どこにエネルギーのムダがあるか調べ、省エネ目標を作ることだ。動力系ばかりではなく、照明なども調査対象とする。小さな節約量でも、チリも積もれば大きな量となる。
人材もエネルギー源
工場の一番大きなエネルギー資源といえば「人材」だ。人材を「工数」として捉えては、エネルギー源という発想は出てこない。人は他のエネルギー源では代替が利かぬ「情熱」というエネルギーを発生する。
品質も生産性も最終的には「人質」の勝負だ。人質を上げるためには従業員一人ひとりの情熱エネルギーが必要だ。従業員の情熱エネルギーを効率よく発生させることが、儲かる工場の「省エネ」だ。
ではどうすれば従業員が情熱エネルギーを発揮するようになるか?残念ながら知識や技能は教えられるが、情熱は教えられない。初めが肝心である。まず情熱のある人を選ぶ。そして一人ひとりが仕事を通して夢を実現するよう、正しく指導することだ。
与えられた仕事では情熱エネルギーは発揮しにくい。自らの夢の実現のためならば、情熱エネルギーは自然と発揮される。
初めに手間をかける
ゼンマイ駆動の玩具自動車を想像して欲しい。まずゼンマイを巻き上げ、駆動力を与える。そして目標に向かって正しく方向付けし手を離す。スタート地点のほんの僅かな誤差が、目標から大きくずれることになる。間違った方向に進めば、すぐに方向を修正する。
仕事も同様である。まずはその意義を説明し、情熱エネルギーという駆動力を与える。そして正しく目標を与える。後は任せる。
しかし、任せたままにしてはだめだ。特にスタート直後はフォローが大切だ。目的・目標を正しく理解しているか?やり方を間違えていないか?きちっとフォローする。順調にスタートしたら、後は任せる。
往々にしてこの逆をしている上司が多い。簡単な説明で仕事をスタートさせる。そして締め切りの間際になって、正しく仕事が行われていないのを知り、あわてて方法論まで指導してしまう。
これでは余計に手間がかかるばかりではなく、部下の情熱エネルギーを発揮しにくい。部下を信頼(信じて頼る)するのではなく、部下を信用(信じて用いる)することにより情熱エネルギーを引き出すことができる。
本コラムは香港,中国華南地区で発行されている月刊ビジネス雑誌「華南マンスリー」2010年4月号に寄稿したコラムです.