者に語らせるな,モノに語らせよ


 中国で仕事をしていると,部下の報告を鵜呑みにすると痛い目に合うことがしばしばある.

例えば生産日報を見ると毎日1000台とか1200台のようにキリのいい数字が並んでいる.これはおかしい.その日によって不良の数も違っているはずだし,まだ仕掛で完成していないものもあるはずだ.

現場に行って確認してみると,投入台数を生産台数として報告されていることがわかったりする.

生産管理が,部品が欠品しており別の部品を代替に使用して生産を開始しても良いかと相談してくる.そんなはずはない,昨日入荷したコンテナに入っていたはずである.

倉庫に行ってみると,違う場所に該当の部品が置いてあったりする.

何事も担当者の思い違い,理解不足,思惑という色眼鏡を通して報告が上がってくるものだ.
これを部下の出来が悪いと嘆いてはいけない.上司の指導が足りないのである.

上記の例では,担当者が生産現場の班長に聞いた数字を報告しているだけ.きちんと完成品入庫の数字を確認すれば間違いはなかったはずである.

生産管理の人間は,倉庫の担当者から部品の欠品を報告されるとそのまま上司に報告する.きちんと受け入れ記録を調べればIQC(受け入れ検査課)の検査完了データが見つかるはずである.

人に聞いた話をそのまま報告するのではなく,現場・現物を確認して報告をする.
これが本日のテーマ「者に語らせるな,モノに語らせろ」の意味である.


このコラムは、2008年1月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第18号に掲載した記事です。

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