自動ブレーキ「誤作動」


 

「自動ブレーキ『誤作動』米が調査 日産SUV」

 日産自動車の北米向けSUV(スポーツ用多目的車)「ローグ」(日本名・エクストレイル)について、自動ブレーキが誤作動する恐れがあるとして、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が調査に入った。米メディアが12日、一斉に報じた。

 調査対象は2017年と18年のモデルで、計約55万台。障害物がないのに自動ブレーキが突然作動するなどの不具合が指摘されている。これまでに800人以上が苦情を訴え、14件の事故、5人の負傷者が報告されているという。

 日産にとってローグは北米での主力車種。日産はソフトウェアの無償改修を促す通知を顧客に出した。NHTSAの調査結果次第では、リコール(回収・無償修理)に発展する可能性もある。

 日産によると、ローグは米国、韓国、九州の3カ所で生産しているが、調査対象の車の詳しい生産地は分からないという。日産広報は「今のところ、日本のエクストレイルに同様の問題が出ているという話は聞いていない」としている。

(朝日新聞より)

 ゴーン会長、西川社長の報酬疑惑、19年度1Qの営業益98.5%減、などに続き日産自動車のネガティブな報道が続いている。

今回発生したブレーキの誤動作は、必要な時にブレーキが効かないわけではなく、不必要な時にブレーキが作動してしまう問題だ。必要な時にブレーキが効かなければ、かなり深刻な問題になる。しかし不必要な時にブレーキが作動しても、追突されるなどの人身事故につながりかねない。

新聞記事には「ローグは米国、韓国、九州の3カ所で生産しているが、調査対象の車の詳しい生産地は分からないという」とある。ソフトウェアの問題であれば、どこで生産しても同じ欠陥が内在しているはずだ。生産地ごとに採用している購入部品に含まれるソフトウェアの問題なのだろうか?

当然、ブレーキの動作に影響のある重要安全部品に対する評価は徹底的に実施したはずだ。
しかしこの手のソフトウェアの信頼性評価は簡単ではない。
「ブレーキが効かなければならない時に、ブレーキが正しく動作する」ということを検証するのはさほど難しくはないはずだ。つまり、ブレーキが効くべき場合は「ブレーキペダルが踏まれた」「前方または後方に障害物がある」など条件を特的できる。

しかし「ブレーキが効く必要がない時に、ブレーキが作動しない」を検証する場合、「ブレーキが効く必要がない」という条件をもれなくあげることは困難だろう。従って完成車での検証(妥当性評価)には無限大の組み合わせが発生する。

このような場合ソフトウェア単体の検証で問題ないことを確認することになる。
通常この検証はソフトウェア設計部門で行う。これが仕入先の設計であれば、完成車メーカとしてどのように評価するのかが問題となるはずだ。


このコラムは、2019年9月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第877号に掲載した記事です。

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