不平不満


 世の中の進歩は、人々の不平不満から生まれる。
人間が不平不満を感じ、それを口にするから、人間社会の進歩や向上が現実化する。真っ当な考え方のように思えるが、不平不満からは進歩も改善も生まれない。

中村天風師は次のように言っている。

「不平不満を口にすることは」

 いったい、多くの人々の常識の中には、不平不満を言うということは、人生少しも恥ずかしいことでなく、むしろ、当然のことで、かつまた、人間共通のことであるように思考している傾向がる。

 中には、人間が不平不満を感じ、かつこれを口にするからこそ、人間世界に、進歩とか向上とかいうものが、実現化されるのだというような極端な誤解を、誤解と思っていない人すらある。これは、ちょうど、疑うからこそ、正邪の区別や、普通では、理解することのできない真理も、発見できるのだという考え方と同様の誤解である。

 というのは、不平や不満を口にする悪習慣は、人にいたずらに煩悶や苦悩を心に多く感ぜしめるだけで、それ以上人生に、価値ある収穫を招来しないということに想到すると、それが誤解の証拠であると必ず考えられるからである。

《本当の心の力》

改善や進歩を生むのは「不平や不満」のような消極的態度ではなく、改善や進歩を希求・探究する積極態度であり、そこから生まれる行動だ。


このコラムは、2019年10月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第885号に掲載した記事です。

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