岡田武史元日本代表監督の中国プロサッカー改革


 6月4日に埼玉スタジアムで開催されたワールドカップ最終予選でオーストラリアと引き分け、日本は見事5大会連続の出場を決めたが、そのうちのフランス大会、南アフリカ大会で指揮をとった岡田武史前日本代表監督は、現在は中国に渡ってスーパーリーグ(「中超」、日本のJ1リーグに相当)の杭州緑城を率いている。
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 岡田監督は中国サッカーに自由と自己責任の“グローバルスタンダード”を持ち込んだ。それが中国社会のローカルなしがらみにうんざりしていたサポーターたちのこころをつかんだのだ。

出典:http://diamond.jp/articles/-/37077

 2002年のワールドカップで,中国代表は一勝も出来ずに予選敗退した.
一勝も出来ないばかりか,一得点さえあげられないと言うていたらくだった.
しかし,個人的には近い将来中国のサッカーは強くなるだろうと予感した.
その予感は全く外れてしまった(笑)10年以上たったが,鳴かず飛ばずの状態が続いている.
中国サッカー協会をあげての賭博,八百長などの腐敗.
優秀な監督を海外から招聘しても,チーム内に『関係(グワンシ)』による組織力学が働いており,監督の指導が機能しない.
などスポーツ競技としてサッカーが成り立つ環境に無かった事が,大きな原因だろう.
元日本代表監督の岡田武史氏は,杭州のサッカーチームを指導している.
指導に当たって,まずオーナーと関係のある選手を全部外に出した.
政府・共産党の口出しを封じ込んだ.
ユースの育成の責任と権限を監督の下においた.
まずこうした組織改革の上で,選手の自主性を高めることをした.
サッカーと言う競技は,現場の選手の判断で戦術を組み立てて行くスポーツだ.
野球などの様に,一球ごとにコーチからサインが出てその通りに戦術が進むスポーツとは訳が違う.
指導者は,戦略を選手と共有し,選手が考えなくても戦術の組み立てができる様になるまで練習させる.従って,指示通りに動く選手では役に立たない.
自ら考える力を育てなければならない.
岡田監督は,寮の門限を廃止し選手の自主性と自己管理を高める様にした.
「Number」の取材に答え
「最悪なのは、監督がここにいろって言ったからって何も考えずにカバリングしているヤツ。それは俺に言わせりゃ選手じゃない。日ごろの生活で人に言われたことだけやっていたら、試合のなかでも責任を持って判断できなくなる」と言っている.
言われた通りに動けば評価される.そんな組織に慣れ親しんだメンバーは,考える力を失う.自ら考え,行動する.その結果とプロセスが評価される.
そう言う組織のメンバーは常に考え,成長する.その先には考えなくても,自然と行動出来るメンバーとなる.
これはサッカーばかりでなく,会社と言う組織でも同じ事だ.
規律を守ると言う事は,組織運営の基本だ.しかし規律にしばられれば進歩はない.自ら規律を最適になる様に変えて行く事が出来る組織が,進歩出来る組織となる.
組織の文化を創り,選手を鍛え上げるのが監督の仕事だ.その結果リーグ優勝などの成果が出る.岡田監督は更に,次世代を担う若い選手の育成まで掌握した.短期的な優勝請負ではなく,常勝チームの基礎を作る.これがホンモノの指導者だと思う.

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