非常識なパフォーマンス


 不良率、生産性などのパフォーマンスを業界内だけで比較をしていると「井の中の蛙」になってしまう。

例えばセットメーカは電子部品業者に対し不良20ppm以下の納入品質を要求されるところが多い。部品にもよるだろうが、まったく実現不可能な品質レベルではない。がんばれば何とか達成できる。

しかしこの要求を電源装置にも適用されて、大いに弱った。
電源装置の中には、電子部品、機構部品が200点ほど入っている。それぞれの部品が20ppmの品質レベルなのに電源も同じ品質要求では不公平ではないかと、お客様に苦情を呈した事がある(笑)

このお客様に収めた電源装置は生産開始初期につまらない不良を何度か出してしまったため、最終的には20ppmを切れなかったが、0ppmを何ロットも継続した。

電源屋は電源屋の常識で品質レベルを考えていると、そこそこのところで止まってしまう。電子部品業界の常識レベルにチャレンジすることにより、更に上のレベルに到達できるわけだ。

一方自動車関連部品やモジュールを生産されている方々は、初めから不良ゼロが常識である。
ひとつには人の命を預かる部品であるということ、更に部品不良が発生すると最終の完成車組み立て工程が止まってしまう。という理由により不良ゼロが常識なのである。この常識は自動車関連の部品メーカであれば、ネジ屋にも適用される。

このように業界を越えてパフォーマンス評価をすると、更に高い目標がでてくるものだ。

同じような作業をしているにもかかわらず、業界内比較をしてしまうとこの程度で十分というレベルになってしまう。ベストプラクティスを業界の外に求め、それにチャレンジする。同業者の中では非常識なパフォーマンスを実現することにより、業界内で圧倒的な競争優位が得られるであろう。


このコラムは、2008年8月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第45号に掲載した記事です。

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