生産と消費はセットだと考えていた。つまり生産者があるから消費が発生し、消費者があるから生産活動が行われる。この相互関係が春節休暇前までは私の中で常識だった。
しかしコロナウィルス禍以降、生産≪消費の生活となった。日々家に籠って本ばかり読んでいる。読書は知的生産活動のように見えるが、読書によって得たモノを活用して初めて生産活動といえる。読書そのものは消費活動だ。
昨日は開高健の「フィッシュ・オン」を読んだ。
子供の頃、釣りのことばかり考えていた時期がある。
釣られた魚が可哀想に思え、釣った魚はちゃんと食べることにした。魚を消費することにより「釣り」という遊び(消費活動)が生産活動になるような気がする。開高健は「キャッチ・アンド・リリース」を釣り師の美徳と考えている。この考え方は、捕えた魚を再生産のサイクルに戻すことであり、消費活動をわずかでも生産活動側に戻そうという姿勢かと思う。
生産者があるから消費者がある、消費者があるから生産者がある、という考えは間違いではない。しかし生産者は消費者でもあり、消費者は生産者でもあると気が付いた。
失業状態中の私はこの気付きで少し気が楽になった。閾値を超えるまで消費を極めれば、生産になる。
「コロナ後」を見据えて消費を極めようと覚悟を決めた。
このコラムは、2020年5月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第978号の編集後記に掲載した雑感です。
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